【ライヴレポート】清春、30周年記念ツアー全60本中40本目のバースデー公演「最後までみんなを連れていきます」
清春が2024年10月27日、東京・恵比寿ザ・ガーデンホールにて<2024 DEBUT 30TH ANNIVERSARY YEAR TOUR 天使ノ詩 『NEVER END EXTRA』 『The Birthday』>と題した恒例のバースデー公演で、観客と喜びを分かち合った。10月30日には56回目の誕生日を迎える清春だが、表現者としての成熟ぶりと底知れなさには、ますます心奪われるものがある。
2025年2月9日を終着点としたデビュー30周年記念のこのツアーも、全60本中40本目を迎えた。
2024年3月にリリースされたアルバム『ETERNAL』の楽曲はライヴを重ねるごとに美しく強靭になり、ファンへの永遠の贈り物といった趣を深めている。こうした最新の楽曲群と清春のヒストリーを彩ってきた名曲が溶け合うショウは、まさに芸術作品と言えるだろう。
午後5時20分に場内が暗転し、ステージへと向かうシルエットが見える。この時を心待ちにしていたオーディエンスの拍手と歓声のなか、エレキギターをかき鳴らす清春が放った1曲目は「予感」だった。鮮やかな存在感が会場を支配していく。続いて「confusion」「Wednesday」を烈しく華やかに歌うさまはロックスターそのもの。序盤にして、フロアの熱気は増すばかりだ。
今夜の清春を支えるのは、大橋英之(G)、加藤エレナ(Pf)、辻コースケ(Per)、SATOKO(Dr)の4名。本ツアーはさまざまな布陣の楽器隊が観られることも特色で、今宵はツアーのキーパーソンの1人、栗原健(Sax)のいない形態だ。その日に集結したミュージシャンたちが、秀でた技量で清春の豊かな詩情をサポートする光景には、毎公演興味深いものがある。
「もし、良いなと思う瞬間が2秒でもあったら、あと2回はツアーを観に来るって約束して?」と清春が冗談交じりにオーディエンスに呼びかけたように、何度でも目撃したくなる音楽の創造の場が目の前に広がっているのだ。
清春がアコースティックギターの音色を響かせながら歌った「RUBY」「Masquerade」「流星」の流れも絶品。孤高の詩人のごとき佇まいと、甘く切ないメロディーが観客一人ひとりの心の奥深くに刻まれるようだった。
その他、「FRAGILE」の官能的な大人の空気やアルバム『ETERNAL』の中でも屈指の人気曲となった「sis」の優しい旋律も忘れがたい。思わずステージに向かって手を伸ばしたくなるような温もり。これこそが清春の真骨頂なのだ。
即興性豊かなセッションタイムを経て、あっという間に本編終盤へと突入。生命の躍動を感じさせるような「SAINT」と「RUTH」でフロアは一体となり、「下劣」が情感たっぷりに炸裂すると、場内は万雷の拍手に包まれた。
当然、ファンはまだまだ帰路に就きたくはない。「ミザリー」「アロン」「heavenly」といった、黒夢の楽曲にして今の清春の代表曲が次々と披露されると、歓喜の輪が大きく広がった。特に「アロン」の神々しい支配力はライヴだからこそ味わえるものなのだろう。
ここでステージにバースデーケーキが運び込まれ、祝福の空気は最高潮に達する。そこからしばらくの間続いた清春の和やかかつ本質を突いたトークなども彼のライヴの見どころだ。
「清春ソロとして活動し始めて約20年、ソロとしては過去最大本数の60本というツアーを今できている事実が凄いなと思います」と清春は自己分析する。そんな感慨に浸りながらのダブルアンコールは、本ツアーでの成長著しい「ETERNAL」で幕を開けた。大橋のギターのトラブルにより、クライマックスを飾る「HAPPY」が円滑に始まらないという珍しい光景もあったが、そんなハプニングを逆手にとって「EMILY」を追加したのはライヴならではの喜ばしいスリルだった。いつまでも包まれていたくなるラストソング「あの詩を歌って」が着地点に至る頃、時計の針は午後9時を少し回っていた。
「最後まで、みんなを連れていきます!」と清春はこの日何度も叫んでいた。そして、「もし、困ったり、苦しかったりした時に思い出せるような“あの時の清春”という貫き方をしたいと思います」とも語っていた。これらの言葉は、30周年イヤーのバースデー公演の本質を表していると思う。ここに来さえすれば、また明日からも頑張れる。時間の経過を忘れてしまう極上の空間。誰もこの場を奪うなんて、出来ないのだ。
なお、誕生日当日10月30日にはFC限定公演が控えている。
取材・文◎志村つくね
撮影◎森好弘
■<debut 30th anniversary year TOUR 天使ノ詩『NEVER END EXTRA』>
11月03日(日) 茨城・水戸LIGHTHOUSE
11月04日(月/祝) 茨城・水戸LIGHTHOUSE
11月08日(金) 愛知・名古屋MUSIC FARM
11月09日(土) 愛知・名古屋MUSIC FARM
11月10日(日) 愛知・名古屋MUSIC FARM
11月16日(土) 群馬・HEAVEN‘S ROCK熊谷
11月17日(日) 群馬・HEAVEN‘S ROCK熊谷
11月23日(土) 神奈川・横浜BayHall
▼<清春+Boris「Heavy Rock Breakfast Japan Tour 2024」>
11月30日(土) 神奈川・川崎SUPERNOVA
12月01日(日) 神奈川・川崎SUPERNOVA
12月04日(水) 大阪・Shangri-la
12月14日(土) 愛媛・松山WstudioRED
12月15日(日) 香川・高松MONSTER
12月21日(土) 福岡・BEAT STATION
12月22日(日) 鹿児島・CAPARVO HALL
12月29日(日) 東京・渋谷CLUB QUATTRO
12月31日(火) 愛知・名古屋ダイアモンドホール
▼2025年
01月08日(水) 東京・新宿LOFT
01月12日(日) 大阪・GORILLA HALL
▼<黒夢>
02月09日(日) 東京ガーデンシアター
■『黒夢・SADS限定復活!清春デビュー30周年記念6カ月連続WOWOW特集』
▼<SADS 1999-2003「SAD ASIAN DEAD STAR」>
放送日:10月20日(日)午後7:00〜
※アンコール放送:11月05日(火)午後6:00〜
放送局:WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信
※放送/配信終了後〜 1ヵ月間WOWOWオンデマンドでアーカイブ配信あり
出演:SADS
清春(Vo)、坂下丈朋(G)、小林勝(B)、照井仁(Dr)
収録日:2024年6月29日、30日
収録場所:東京・Zepp Haneda(TOKYO)
▼<SADS Music Video Collection>
放送日:11月02日(土)午後8:30〜
放送局:WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信
【清春:12月〜2025年1月】
▼<清春 debut 30th anniversary year TOUR 天使ノ詩 「NEVER END EXTRA」The Birthday>
放送日:12月15日(日)午後9:00〜
放送局:WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信
※放送/配信終了後〜1カ月間WOWOWオンデマンドでアーカイブ配信あり
収録日:2024年10月27日
収録場所:東京 恵比寿ガーデンプレイス ザ・ガーデンホール
▼<清春 Music Video Collection>
2025年1月放送/配信予定
【黒夢:2025年2月〜3月】
▼<黒夢 Music Video Collection>
2025年2月放送/配信予定
▼<黒夢 2025.02.09 CORKSCREW A GO GO! SAINT MY FAKE STAR>
2025年3月放送/配信予定
※放送・配信終了後〜 1ヵ月間WOWOWオンデマンドでアーカイブ配信あり
収録日:2025年2月9日
収録場所:東京ガーデンシアター
■KIYOHARU / BORIS コラボシングル「The Hidden Bloodline」
※<HEAVY ROCK BREAKFAST JAPAN TOUR 2024>ライブ会場 他にて販売
販売形態:3タイプ
収録内容/販売価格:未定
関連リンク
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