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便利さと同時に、どんどん増す批判の声。

OpenAIの元研究員が、同社のビジネスモデルに反対する立場を表明し、ブログでOpenAIがアメリカの著作権法を遵守していないと述べました。このように、テック大手の情報収集ビジネスが法的に不安定(あるいは違法)な基盤の上に成り立っていると批判の声が多く挙がってきています。

告発者はどんな人?

「私が信じていることをあなた方もを信じているなら、OpenAIを去るしかない」とSuchir Balaji氏はニューヨーク・タイムズ紙に語っています。2020年にOpenAIに入社しGPT-4の開発に携わった25歳のカリフォルニア大学バークレー校卒業生のBalaji氏は、当初、病気の治療や老化の防止など「解決不可能な問題を解決できる」と考え、AI業界でのキャリアに興味を持ったと話しています。

Balaji氏は4年間OpenAIで働いたのち、今年の夏、退社しています。現在Balaji氏は、OpenAIの技術が自分が賛同できない方法で使用されていると考えていて、「AIシステムの訓練に使用されたデジタルデータを作成した個人、企業、インターネットサービスの商業的実行可能性を破壊している」と述べています。

今週、Balaji氏は個人のウェブサイトに論文を投稿。そこでOpenAIが著作権法に違反していると主張しています。論文でBalaji氏は、AIシステムのトレーニングデータセットから「どれだけの著作権で保護された情報がモデルの出力に影響を与えているか」を示す試みをしています。

フェアユースの基準を満たしていない?

Balaji氏の分析による結論は、ChatGPTの出力は、著作権者の許可なく著作物の限定的な使用を認める法的基準である「フェアユース(公正使用)」の基準を満たしていないというものでした。

「この問題から抜け出す唯一の方法は規制です」と、AIのビジネスモデルが生み出す法的問題に関してBalaji氏は語っています。タイムズ紙に掲載された声明の中で、OpenAIはBalaji氏の批判に対して次のような反論をしています。

当社は、フェアユースおよび関連する原則によって保護され、長年にわたって広く受け入れられている法的先例に支持された方法で、公開されているデータを使用してAIモデルを構築しています。この原則はクリエイターにとって公平であり、イノベーターにとって必要不可欠であり、アメリカの競争力にとって極めて重要だと考えています。

ニューヨーク・タイムズ紙は現在、著作権で保護された資料の無許可使用についてOpenAIを提訴中。また、OpenAIのパートナーであるMicrosoft(マイクロソフト)も、タイムズ紙から数百万件のニュース記事を使用してアルゴリズムを訓練し、同じ市場で競合しようとしていると主張しています。

提訴されまくりのOpenAI

タイムズ紙だけではありません。OpenAIは現在、多くの著名人、アーティスト、作家、プログラマーから訴訟を起こされていて、皆、OpenAIのデータ収集アルゴリズムによって自分たちの作品が無断で使用されたと主張しています。

OpenAIを提訴した著名な個人・組織には、サラ・シルバーマン、タナハシ・コーツ、ジョージ・R・R・マーティン、ジョナサン・フランゼン、ジョン・グリシャム、調査報道センター、The Intercept、多数の新聞社(デンバー・ポストやシカゴ・トリビューンなど)、そして多くのYouTuberなどが含まれています。

このように、AI業界のビジネスモデルを批判する人は増え続けています。新しい法的・社会的ジレンマをもたらしつつも、影響力を増し続けるAI業界に対して懐疑的な見方を示している著名人、技術倫理の専門家、法律の専門家は多いようです。

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