臨時役員会に臨む石破首相(中央)、森山幹事長(左から4人目)、小泉選対委員長(同2人目)(28日午前11時30分、自民党本部で)=川口正峰撮影

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 石破首相(自民党総裁)は、衆院選から一夜明けた28日午前、党本部で臨時役員会に出席した。

 公明党と合わせて与党で過半数を割り込んだ結果を受けて対応を協議し、政権の立て直しを急ぐ。選挙結果を巡っては、小泉進次郎選挙対策委員長が首相に辞表を提出し、受理された。首相と森山幹事長の責任を問う声も上がっており、事態の収拾は難航する可能性がある。首相は政権維持のため枠組みの拡大を探る構えで、大幅に議席を増やした立憲民主党との間で多数派形成に向けた争いが激化しそうだ。

 与党の最終獲得議席は自民191議席、公明24議席の合計215議席で、過半数(233議席)に届かなかった。首相は党派閥の政治資金問題を受け、非公認とした候補が無所属で勝ち上がってきた場合は追加公認する考えを示していたが、投開票日の27日は見送った。

 小泉氏は28日に首相に辞表を提出した後、記者団に「目標を掲げて戦い、結果が出なかったら責任を取るのは当たり前だ」と語った。

 首相は選挙戦で、「自公で過半数」を勝敗ラインと明言していた。首相は周辺に退陣を否定しているほか、森山氏も28日未明、記者団に「責任を果たしていきたい」と述べ、続投する意向を示した。

 ただ、首相と幹事長は政治資金問題を巡る逆風をはね返せなかっただけでなく、非公認候補の政党支部への2000万円支給が非難されたこともあり、責任論が党内で噴出するのは確実だ。

 自民は28日午後、公明と連立維持に向けた協議を行った。公明は落選した石井代表の辞任が不可避な情勢となっている。新代表選出に向けて調整を急ぐ構えだ。

 一方、今回の衆院選で立民は50議席増の148議席と大きく伸長した。国民民主党も28議席と躍進し、日本維新の会の38議席と合わせた野党勢力の合計議席は、与党に迫る状況となった。

 立民の野田代表は28日午前、東京都内の連合本部で芳野友子会長と会談し、衆院選の結果を報告した。会談後、野田氏は記者団に「(与党)過半数割れまで追い込めたことは一定の成果だ。特別国会、(来年夏の)参院選も含めてやるべきことはいっぱいある」と述べた。

 自民、公明両党が過半数を維持できなかったことで、政権運営が不安定化するのは確実だ。首相が11月初旬以降に開かれる特別国会の首相指名選挙で再び選出されても、少数与党に転落する見通しだ。

 首相は重要政策を進めるため、国民などに協力を求める考えだ。国民の玉木代表は「政権に入ると、必ずしも同意していないことにも同意しないといけない」と否定的なスタンスで、首相は政策ごとに協力を求める「部分連合」を模索する。

 野田氏も首相指名選挙で維新や国民の支援を得たい意向だ。

 首相指名選挙で首相が過半数を取れなかった場合は、上位2人による決選投票となる。野田氏は28日未明の記者会見で「比較第2党であるので、自分がまず手を挙げ、ご協力をお願いする」と述べ、他の野党に自身への投票を呼びかける考えを示した。維新と国民が与党寄りの立場を取らないよう、両党への働きかけも行う。