【北朝鮮がロシアに派兵】日米も情報確認“精鋭部隊も派遣”アジアと欧州安保に影響は

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中谷防衛大臣は25日、ウクライナ侵攻を継続するロシアへの北朝鮮による派兵について言及し、「米国などと協力して関連情報を収集分析した結果、北朝鮮の兵士がロシア東部へ派遣され、訓練を行っている」と述べた。カービー米大統領補佐官は23日、10月初旬から中旬に、北朝鮮兵士少なくとも3000人がロシアに入国し、同国東部の複数にわたる軍事施設で、訓練を受けているとの分析を公表した。

プーチン大統領は24日、ロシア中部カザンで開かれたBRICS首脳会議の記者会見で、ウクライナでの特別軍事作戦を巡る北朝鮮派兵について問われ、肯定も否定もしなかった。プーチン氏は、北朝鮮部隊がロシア領内にいるとされる画像があるとの指摘について、「もし画像が存在するというのであれば、何かを反映しているということだろう」と語った。北朝鮮外務省は25日、ウクライナ侵攻でのロシア派兵について、「国際報道が騒ぎたてているようなことがあるなら、それは国際法規範に合致する行動だ」と、事実上、ロシアへの派兵を認めた。

ウクライナ国防省情報局は24日、ロシア極東での軍事訓練を終えた北朝鮮軍部隊の第1陣が戦闘地域に派遣されたことが確認されたと発表した。派遣された場所は、ウクライナ軍が越境攻撃で一部を占領下に置いているロシア西部クルスク州で、23日に確認された。ロシアに入国した北朝鮮軍の規模は、3人の将官と500人の士官を含む約1万2千人と推計されている。北朝鮮の精鋭部隊「暴風軍団」に所属する兵士3000人が、ロシアが侵攻するウクライナに援軍として派兵されたと見られる。ウクライナ側は北朝鮮兵向けに投降を求め、朝鮮語で「温かい食事を提供する」と呼び掛ける動画を公開した。ブダノフ情報総局長は23日、「約2600人の部隊は、クルスクへ、残りの北朝鮮軍がどこに駐留するか不明だ」と語った。また、ゼレンスキー大統領は25日、「北朝鮮軍は、早ければ27日から28日に、戦闘地域に配置される見通し」とXへの投稿で明らかにした。

ロシアに派遣された北朝鮮軍部隊の統括役として、軍総参謀部のキム・ヨンボク副総参謀長がロシアに入国したことが26日、ウクライナ軍筋の話で明らかとなった。キム氏は、「暴風軍団」の異名を取る特殊部隊の第11軍団のトップなどを歴任し、金正恩朝鮮労働党総書記の軍側近の一人として知られている。ウクライナ当局は23日、ロシアのウクライナ侵攻を支援するために派兵されたとされる北朝鮮兵士に向け、朝鮮語で投降を呼びかける動画を公開した。「他国で無為に死ぬべきではない。ウクライナはあなたを保護し、食事を与え、温める」と呼びかけた。

★ゲスト:廣瀬陽子(慶應義塾大学教授)、長谷川雄之(防衛省防衛研究所)

★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)