[10.27 J2第35節 栃木 0-1 清水 カンセキ]

 虎視眈々とゴールを狙ってきた元ストライカーのCBが、清水エスパルスを3年ぶりのJ1復帰に導く大仕事を成し遂げた。

 勝てばJ1昇格が決まる清水は0-0で迎えた後半5分、MF宇野禅斗の右CKをMF中村亮太朗がニアサイドでフリックすると、DF住吉ジェラニレショーンがゴール前に飛び込んだ。最初の競り合いでMF川名連介を力強く制すと、最後はやや外側に身体が流れながらも右足を残してファーポスト脇へ。ストライカー顔負けの技ありシュートで先制点を沈めた。

 住吉は国士舘大時代にCBにコンバートされたが、日大藤沢高時代はFWとしてプレーしていた元ストライカー。「秋葉さん(秋葉忠宏監督)もよく言うけど、攻撃と守備においてペナ内に入ったらそのポジションの仕事をしないといけないと。セットプレーは自分が点を取れるチャンス。あそこは点を取ることしか考えていない」。かつて主戦場としたペナルティエリア内で見事な仕事を果たした。

 結果的にこれが決勝点となり、チームは2試合を残して3年ぶりのJ1復帰が決定。住吉はクリーンシートだけでなく、“昇格決定弾”の偉業で歴史に名を残した。

 自身の活躍には「正直まだ実感はない。ちょっと厳しい戦いの中だったので、嬉しかったけどまだ実感は湧いてない。不思議な感じ」と照れ笑いを浮かべたが、今季は夏場の離脱期間を除いて主力としてプレーし続けてきており、シーズンを通してのパフォーマンスには手応えを感じる1年となった。

「自分自身、サッカーにおいての成長は他の人が評価するものだと思うけど、一番わかるのは結果。この順位にいることと、試合に出続けられていることで貢献はできていると思う。個人的には5ゴールを目標にしている中で4点取れているのは成長しているところだと思う」

 昨季までの2年半はサンフレッチェ広島で強力なCB陣とポジション争いを繰り広げたが、今季はより多くの出場機会を求めて期限付き移籍。水戸時代以来のJ2参戦に「前の年にJ1に上がれなくて常にJ2の上にいるというチームで、目標としてはJ1昇格、J2優勝というものがある中、プレッシャーを自分にかけていた」と大きな覚悟を持って戦ってきた自負もある。

「広島ではなかなか試合経験がなかったけど、今季は良いプレッシャーで試合に挑んで、自分自身1年間通してプロで試合に関わり続けることが今までなかったけど、今年1年間で結果として一つの目標を達成できて良かった」

 もっとも「あと残り2つ勝って、優勝してもう一つの目標を達成したい」と決意も新たにする。充実のシーズンの集大成はJ2優勝という結果で迎える構え。目標の5ゴールまではあと一つとなっており、残り2試合で決めれば“J2優勝決定弾”の可能性も出てくる中、「流れの中で取ってほしいけど、セットプレーになれば取る気満々なのでまた狙っていきたい」と力を込めた。

(取材・文 竹内達也)