Photo: Adriano Contreras

10月1日にNothingが発表したオープンタイプのイヤホン「Nothing Ear (Open)」 。日本での価格は2万4800円。最近、オープン型イヤホンの需要、注目の高まりを感じます。

Nothingらしいスケルトン、インダストリアルなデザイン。米Gizmodo編集部がレビューしました。

Nothing初のオープン型Nothing Ear (Open)。オープンデビュー作としては悪くないと思います。ただ、もっと良くなったかもしれないとは思うのだけれど…。特にここ最近Pixel Buds Pro 2を使っていたので、なおさらそう感じてしまいました。

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業界最薄ケースがGOOD

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Nothingらしい一部クリアな充電ケースは、厚さわずか19mm、重さ63.8gで、公式曰く業界最薄。今まで使ったイヤホンの中で、いい意味で最も存在感のないケースです。小さなポケットにも、バッグのポケットにも、デニムのタイトなポケットにでも入る優秀さ。

ケースは全体のデザインがいいのもありますが、左右の目印として右イヤホンに付いている赤ドットがケースにもあり、収納するときにわかりやすい。こういうちょっとした親切心が、日々の使用感UPに繋がりますよね。

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イヤホン自体の重さは8.1g。少々重い気もしますが、気になるほどでもない。イヤホンはプラスティック素材、耳にひっかけるシリコン素材、最後はアルミニウムティップで構成されています。

ボタン押したかどうかわからなくなる

左右のイヤホンにはボタンが1つ。これで再生・停止(1回押し)、曲スキップ・戻り(ダブル・トリプル押し)、音量調整(長タップ)が可能。操作はすべて専用アプリ「Nothing X」でカスタマイズ可能。

音量調整で気になったことが1つ。右イヤホンでボリュームアップ、左操作でダウンなのはわかりやすいのですが、調整自体は長タップなので、ちょうどいい音量に合わせるのが少々難しい。慣れ…なのかな。ただ、イヤホンで音量調整できるというアクセスの良さは好き(充電ケースで行なうパターンが最近よく見られるので)。

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イヤホンのボタンがどこにあるか、それ自体は手で触るとすぐにわかります。が、押したかどうかがビミューな感覚。ボタンを押したときのストローク、押す深さが浅いのかな。押したぞ!という手応えが弱いのです。結果、2度押しして曲スキップしてしまうということが、ちょいちょいありました。これ、日常で発生すると結構イライラするんですよね…。

装着感はいいけどフィット感は緩め

レビューではなく、私が日常でよく使用しているのがCleer Arc II。ただ、これ長時間使用には向きません。時間が経つと着け心地が良くないからです。

耳にかけるオープン型の問題なのかと思っていたんですが、Nothing Ear (Open) を着けてみてびっくり。長時間使用でもまったく気になりません。Nothing Ear (Open)のシリコンバンドは薄くて軽くて、存在していることを疑うほど。

公式が「着けていることを忘れてしまいそうになる」といってますが、まったくもってその通り。実際ほぼ忘れていましたからね。

Nothing Ear (Open)を使ってからCleer Arc IIを使うと、「あ、これってこんなゴツかったんだ」って実感するほど。同じくオープン型のOladance OWS 2とは違い、先が小ぶりになっていることからも、バランス感もいいと感じました。

Photo: Adriano Contreras

一方で、その薄さから難点もあります。重さを感じないものの、例えばメガネや髪の毛をちょっと整えると、一緒にイヤホンもズレちゃうんです。私は髪の毛を耳にかけるクセがあるのですが、そのたびズレます。

とはいえ、そのズレを軽さ&装着感の良さと天秤にかけると、後者の勝ち。ランニング時は髪結べばいいし、15分に1回髪をかけてイヤホンのズレをちょっと直すことで、重いイヤホンを回避できるならいいやという気分。

重さや薄さはさておき、装着感で気になったのは耳への収まり具合。個人差もありますが、少なくとも私の耳にはちょっと緩いんです。自然にフィットさせると、どうしても外側に少し出ちゃう印象。これ、しょっちゅうギュっと収め直していたんですが、気がつくとまた緩くなっている。耳のかかりがいいので、落としてしまうことはありませんでした。

ポッドキャストや通話で使用することも多いのですが、その場合相手の声が聴きづらく、ギュっと抑えるシーンも多くなります。また、周囲に人がいるときは音漏れも気になりました。

全体的な装着感は着けていることを忘れるほどいいけれど、音を聴くことを考えると、緩いフィット感が気になります。

低域の迫力がイマイチ

搭載されている14.2mmのドライバは、この手のワイヤレスイヤホンにしては大きめ。ドライバサイズは低域の響きに影響しますが、正直そんなに低域の響きは感じませんでした。オープン型かつ耳の収まりが緩いことで、ベースのズンズン感が100%味わえていないところがあるかと。

オープン型ゆえの音漏れ、低域の弱さは多くの企業にとってチャレンジであり、例えばShokzのイヤホンはその課題に取り組み、成果を出したアイテムです。とはいえね、それにしたって、Nothing Ear (Open)の低域は弱いと思いますけれど。

ちなみに中域は普通。ANCは非搭載。

今回のレビューでは、おうちでの会話(通話やポッドキャスト)でイヤホンを多用しており、利便性とバッテリーもち、接続の安定性は魅力だと感じました。高音質を求める使用シーンがなかったからです。いい音で音楽を聴こうと思ったら、Pixel Buds Pro 2に切り替えていましたが、結局それが答えかと。

残念なのは、外出時のパートナーにはなれないこと。外出するということは周辺がうるさい状況もあるわけで、そうするとANCが欲しくなります。オフィスでのNothing Ear (Open)使用時は、救急車や消防車の通過中、近くで野外フェスが始まったときは、通話を一旦ストップする必要がありました。相手の声が聴こえないわけではないけれど、明らかに聴こえづらくはなります。

これはNothing Ear (Open)だけでなく、オープン型全般の悩み。使用目的を選んでこそ、オープン型は魅力が十分に発揮されるタイプです。

つまり、プライベート・仕事の全環境を全カバーしたければ、これ1台では無理だということ。少なくとも私は無理です。

素晴らしいバッテリー性能

バッテリーもちはイヤホンのみで最大8時間、充電ケースも合わせると最大30時間。レビューで数週間、通話・ポッドキャスト・音楽で使いましたが、充電は週末の1回だけ。通話の方がバッテリー食いが激しいのですが、自分でいうのもなんですが、あれだけ喋っていた割には大健闘なバッテリーだと思います。

赤ライト点灯で残量が少ないこと、点滅で充電中、白ライトでフル充電という目に見える充電がわかりやすくて好印象。充電にかかるのは1時間弱、ワイヤレス充電なし。

Photo: Adriano Contreras

同時接続は最大2台。防水防塵IP54。着けていることを忘れそうですが、着けたままシャワー浴びたらアウト、水飛沫くらいはなんのその。

総評:大好きと大嫌いのミックス

まとめると…なんともいえない好きと嫌いのミックス。白黒つけ難いイヤホンなのです。

個人的にイヤホンに求める最も大切なことは、利便性と安定性。サウンドクオリティはその次です。利便性と安定性があってこそ、外出時に連れていける信頼できるパートナーになるわけです。が、前述したとおりパートナーをこれ1台ではこなせないので難しい。

また、(個人的に)二の次であるサウンドクオリティも、二の次といえども音漏れが激しくて残念。オープン型で装着感はいいものの、その分ルーズなフィット感が大きな音漏れを許してしまっています。音好き・オーディオマニアなら絶対ダメなやつ。

だけど、装着感はもう最高にいいんです。しつこいけど、着けているのほぼ忘れるほど、負担を一切感じません。

いいところ:装着感が抜群にいい。音量調整が簡単。バッテリーもち1週間。防水あり。2端末でスムーズな接続。

残念なところ:ピンチコントロールが使いづらい。フィット感ルーズ。音漏れする上に音が平均的すぎる。

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Source: Nothing