もし与党過半数割れなら連立再編か石破退陣か。天下分け目の決戦は間もなく始まる

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与党の過半数は厳しい状況

明後日いよいよ第50回衆議院選挙の投開票が行われる。メディア各社の戦前予想は、選挙戦序盤では自民党が議席を減らし単独過半数を失うものの、勝敗ラインの「与党過半数」は取れるだろう」というものだったが、中盤から終盤戦に入ると自民党が失速し「与党過半数割れ」の可能性が出ている。

石破茂首相も22日の演説で「与党の過半数は非常に厳しい状況」と述べて勝敗ラインに届かない可能性を認めた。

与党は勝敗ラインを低めに設定するのが常で、選挙戦の途中で勝敗ラインに届くか届かないかという話になるというのはあまり聞いたことがない。だからかなり深刻な状況と言える。ただ2割位の人が投票先を決めていないのでまだどうなるかはわからない。

またメディアの事前予測による「アナウンスメント効果」というのがあって、有権者が予測を見て「勝ち馬に乗る」=強いと予想されている政党を「勝たせたい」と思う場合と、「判官びいき」=弱いと予想される政党を「負けさせたくない」と思う場合の2パターンがあるのだ。

いずれにせよ自民の議席は大きく減ると思われるので、就任したばかりの石破首相にとっては「負けいくさ」となる。ただ同じ「負け」でも与党過半数を維持するか割り込むかは天と地ほどの差がある。

選挙で負けた首相は退陣する

政権交代はなくても過半数を割った場合、首相は退陣することが多い。2007年の参院選で過半数を失った安倍晋三首相(当時)はその2ヶ月後に退陣、さらに1998年の参院選で過半数を失った橋本龍太郎氏は開票日当日に退陣した。

だから衆院の過半数である233議席を与党で一つでも割ったら石破氏は退陣するとの見方がある。そして自民党は両院議員総会を開いて新総裁を選出するのだが、本来先日の総裁選で石破氏に惜敗した高市早苗経済安保相が後継になってもおかしくない。

だが政権中枢の菅義偉元首相、森山裕幹事長はそれを良しとはしないだろう。かと言って総裁選への参加者の他の誰かを選ぶというのも筋が立たない。まさか岸田文雄前首相の再登板はないと思うが次期総裁の選出はモメそうだ。

玉木雄一郎首相の可能性も

与党過半数割れでもう一つ起きる問題が「連立再編」だ。233の過半数だけでは国会運営はできない。できれば261の絶対安定多数、少なくとも244の安定多数はないと予算以外の法案を通すのは大変になる。

だからたとえ与党で過半数ギリギリ取っても、少なくともあと10議席以上は政権運営にとっては必要なので野党のどこかに入ってもらう必要がある。

そこで今、自民党内で話題になっているのが国民民主党だ。公示前の7議席から倍増どころか3倍増で20議席に乗せるのではないかという予測もある。規模の大きい立憲民主党や日本維新の会に比べて連立に参加してもらうには 「手頃なサイズ感」なのだ。

玉木雄一郎代表は連立入りを毎日のように聞かれ「絶対ない」と答えているが、選挙戦の最中に「連立する」と言う野党党首はいない。ただし玉木氏は連立入りするなら首班を取らなければダメだ。玉木首相ということだ。

1998年に橋本首相が退陣した時はメディアの出口調査の結果が出回り始めた昼過ぎに、幹事長代理だった野中広務氏が竹下登氏と接触するなど怪しい動きをし、永田町では早い時点で「橋龍おろしか」との見方が広がったことを覚えている。

10月27日の開票日も出口調査の結果、与党過半数割れがわかれば、午後には政局が動き出すことになるだろう。