近所の70代はみんな仕事をしています。「年金だけ」で生活するのは困難なのでしょうか?

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定年後も働く人は増えているようです。中には近所の70代がみんな仕事をしているのを見て「年金だけで生活するのは困難なの?」と感じる人もいるでしょう。70代が働く理由を知ることで、自身の老後生活を計画する際の参考にできるかもしれません。 そこで今回は、年金だけで生活できている高齢者の割合について調べてみました。70代の働き方や収入の目安、働く目的についても解説しますので、参考にしてみてください。

年金だけで生活できている高齢者の割合は?

金融広報中央委員会「知るぽると」の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、70代の年金に対する考え方は以下の通りです。

●年金でさほど不自由なく暮らせる:12.1%
●ゆとりはないが、日常生活費程度はまかなえる:61.8%
●日常生活費程度もまかなうのが難しい:26.1%

同調査から、年金だけで問題なく生活できる高齢者は12.1%、ゆとりのない生活を余儀なくされている、または生活が厳しいと感じている高齢者は87.9%であることが分かります。年金だけで生活することが難しい場合は、70代でも仕事を続けることが選択肢のひとつになります。
 

70代の働き方や収入目安は?

70代になると、現役時代と同じレベルで働き続けることは困難になる場合も考えられます。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の「70歳雇用推進マニュアル~高齢社員戦力化のススメ~」では、高齢社員の働き方を以下の3つのタイプに分けています。
・バリバリ活躍型
60歳以前と同じ業務内容・責任の程度で働き、賃金・評価制度も変わりません。
・ムリなく活躍型(フルタイム)
・ムリなく活躍型(短日・短時間)
「身体的負担の大きい業務をなくす」「転居の必要な転勤を伴う業務をなくす」「役職から外し、社内アドバイザーなど若・中年層のサポートを担ってもらう」など業務内容や責任の程度を60歳以前より軽くします。このとき60歳以前と比べて不合理な待遇差が発生しないよう、継続雇用のための制度を整備する必要があります。
業務内容や責任の程度を軽くして70代でも働き続ける場合、現役時代と比較すると年収が下がることが考えられます。国税庁長官官房企画課の「令和5年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-」によると、全年齢の平均年収が460万円(男性:569万円/女性:316万円)なのに対し、70歳以上は293万円(男性:368万円/女性:197万円)です。
 

70歳以上でも働き続ける目的

内閣府政府広報室の「国民生活に関する世論調査の概要」によると、70歳以上の人が働く目的は以下の通りです。

●お金を得るために働く:39.7%
●社会の一員として、務めを果たすために働く:16.1%
●自分の才能や能力を発揮するために働く:8.5%
●生きがいをみつけるために働く:24.9%
●無回答:10.7%

同調査から、年金だけでは生活が厳しい、または生活に余裕が欲しいなどの理由で、お金を得るために働く70代が一定数いることが分かります。一方で、お金を得るため以外の理由で仕事を続ける人もいます。
 

70代の大半は年金だけでの生活がギリギリまたは困難! 働く目的は人それぞれ

今回参照した調査結果によると、70代で年金だけで問題なく生活できる人は12.1%で、生活にゆとりがない、または生活が厳しいと回答した人は87.9%と大半を占めていることが分かりました。年金だけでは不十分だと考える人は、仕事を続けることが選択肢のひとつになるでしょう。
ただし高齢になると、人によっては業務内容や責任の程度が軽くなり、年収も現役時代より低くなることが考えられます。
70代で仕事をしている人がみんな「年金だけでは生活できない」という理由で働いているとは限りません。お金を得る以外にも、社会の一員として務めを果たすため、自分の才能や能力を発揮するため、生きがいをみつけるためなどの理由で働く人もいます。
 

出典

金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降) 各種分類別データ(令和5年) 統計表の番号50 年金に対する考え方
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 70歳雇用推進マニュアル~高齢社員戦力化のススメ~ 第3章 70歳までの雇用推進に向けて必要な施策 2 賃金・評価制度の整備 (2)活用方針を考える(17ページ)
国税庁長官官房企画課 令和5年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告- II 1年を通じて勤務した給与所得者 2 平均給与 〔年齢階層別の平均給与〕(21ページ)
内閣府政府広報室 「国民生活に関する世論調査」の概要 3 生き方、考え方について (2)働く目的は何か(88~89ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー