KENTA SANGGYUNにインタビュー!


【写真】約2年ぶりに来日したKENTA SANGGYUN

日韓デュオのKENTA SANGGYUNが2年ぶりに日本でファンミーティング「KENTA・SANGGYUN 6th Anniversary FANCON “FREQUENCY” in JAPAN」を開催。それに先立ち10月16日にはデジタルEP「LOVE COUNTDOWN」をリリースした。7年前、オーディション番組で出会った2人の出会いから今までを振り返り、当時おたがいが抱いていた印象と、2人が心から信頼し合えるようになるまでを、正直すぎるほど正直に語ってもらった。※取材はイベント前に実施

■KENTAにとってもっといい人になりたいな、と思いました(SANGGYUN)

――2年ぶりの来日、そしてファンミーティング「KENTA・SANGGYUN 6th Anniversary FANCON “FREQUENCY” in JAPAN」が開催されます。今のお気持ちは?

SANGGYUN:僕たちが前回ファンミーティングをしたのは2022年の11月で、それから約2年ぶりの日本公演なのですが、今回は久しぶりに新曲をひっさげての公演なので、今までよりさらにワクワクする気持ちでいます。僕は今回が公式的な日本でのイベントとしては入隊前ラストになると思うので、今まで以上に貴重な機会だと感じています。僕にとっても思い出に残るようないい時間にしたいです。

KENTA:2年前はいろんな悩みとともに来日しました。準備してきたものをファンのみなさんと共有するということはできたけど、どこかに名残惜しさみたいなものも感じていました。でもこの2年で、毎月日本に帰ってくるくらい日本での個人仕事が増えて、2年前に抱えていた悩みが今はなくなりました。今回は前向きなエネルギーが満ち溢れている状態で日本に来ることができたので、ファンミーティングに抱いている期待がすごく大きいです。

――KENTAさんは今年、『日本人が韓国に渡ってK-POPアイドルになった話。』を出版されました。周りの反応はいかがでしたか?

KENTA:周りの僕に対する対応が変わりました。今まで芸能活動とアート活動をしてきて、その時の反応は「すごいね」ぐらいだったんですけど、本が出たことで僕を一作家として見てくれるようになった、というのをいろんなところで感じます。昨日も群馬でインタビューしていただいたんですけど、いわゆる文化人として見てくれているという感じが今までとは違うなと思いました。取材にいらっしゃるみなさんが僕の本を読んでくれて、僕が言いたかったことがちゃんと伝わっているんだなというのを感じています。SANGGYUNについても本にはたくさん書いたんですけど、日本語なのでまだ全部は読めてなくて。正直、読めなくてありがたいと思っている部分もあるんですけどね(笑)。もし韓国語版が出版される機会があれば、SANGGYUNにも読んでほしいと思っています。本の中には「僕とサンギュン」という章があって、そこは前もって内容を説明したんですけど、その時に本を読んでみたいと言ってくれました。

SANGGYUN:僕が出てくるところに関してはKENTAが口頭で説明してくれたんですけど、全体の内容についてはまだ知らないので、もし韓国語版が出たら読んでみたいです。その時はファンのみなさんに感想をお伝えしますね。僕たちが思う僕たちの関係と、KENTAが書いたものを読者の立場で読んだ時とでは、見える視点や考え方、気持ちも違うと思うんです。僕がKENTAにとって大きな部分を占めているんだなということを、僕はKENTAから内容を聞いて初めて知りました。その分、僕はKENTAにとってもっといい人になりたいな、と思いました。

KENTA:それはおたがいにあると思います。SANGGYUNもことあるごとに言ってくれるんですよ。「KENTAがいてくれたから仕事が無事に終わったよ、すごく感謝してる」って。自分が持っていないものを相方が持っているからおたがいにリスペクトしあえるし、いい関係なのかなって思いますね。この本は、あの時に何があったのか、そして2人の関係について書いていて、ファンの方だけじゃなく僕たちのことを知らなかった方や、この本で初めて僕たちを知ったという方にも、僕たちが経験してきたことを知ってもらういい機会になりました。僕はこの本をいわゆる身内ネタ的な内容にしたくなかったし、熱意を持っていろいろ考えながら書きました。本が出て、いろんな人からフィードバックをいただいて、僕が伝えたかったことがちゃんと伝わってるというのを実感しています。その時、この本を書いてよかったなって思いました。

――フィードバックは大事ですよね。

KENTA:大事ですね。それはどんな関係でもそうだと思います。僕らも常日頃からフィードバックし合っています。これがよかったとか、これが嫌だったとか、なんでもコミュニケーションを取って、フィードバックし合っています。だからこそリスペクトも生まれると思うし、自分自身で反省もできるんですよね。

SANGGYUN:正直、僕はもともとそういうことが言える性格ではないし、心の余裕もなかったんですけど、7年という歳月を一緒に活動していく中で少しずつ、自然とできるようになりました。KENTAと2人で日韓デュオをはじめたばかりの頃は困難も多かったですが、活動を続けていくうちにいろんな出来事を経験して、一緒にいる時間が長くなるにつれて、そういった話も構えずできるようになりました。今では特に言葉にしなくても、KENTAがどんなことを考えていて、どんな気持ちなのかがわかるようになったので、いい関係を築けていると感じることが多いです。

■頼れる人はSANGGYUNしかいないのに大丈夫かな?って(KENTA)

――『PRODUCE 101 SEASON2』でお2人が出会ってから早くも7年が経ちました。あらためて当時の自分やお互いのことを振り返ると、いかがですか?

SANGGYUN:当時、僕はKENTAのことは本当に眼中になかったです。

KENTA:えっ!?(笑)

SANGGYUN:いや、人が多すぎて!(笑)そのオーディション番組は参加者がとても多くて、KENTAもたくさんいる参加者のうちの1人という感じだったんです。ただ「あの子はたった1人で韓国に来て苦労しているなあ」と思うくらい。その当時は今みたいに韓国語も上手じゃなかったし、生活の面でも、活動しながらもたくさん苦労したと思います。この子は韓国で活動していて大丈夫なのかなと心配することもあったけど、今ではKENTA自身がいろんな仕事を自分で作って、 本も出して、なんでも自分の力で成し遂げてきましたよね。あの頃は心配していたけど、今ではすごく尊敬しているし、立派だなと思います。

KENTA:当時、番組に参加している日本人は僕しかいなかったので、いろんな参加者が声をかけてくれたんですよ。日本が好きだとか、何か大変なことはないかとか、みんな率先して僕に話しかけてくれました。SANGGYUNもその中の1人だったんですけど、彼はポジションバトルの時に日本語でリリックを書きたいから使える単語を教えてほしいと聞いてきて、僕が教えてあげたんです。番組中にSANGGYUNと話したのはその時くらいですね。でも当時のSANGGYUNは自分からは何も話さないから、どんな人なのか全然わからなかったんです。僕とは性格も全然違うし、仲よくなれそうにないなと思ってました(笑)。

――その時はまさか7年も一緒にいることになるとは思いもよらなかった?

KENTA:そうなんですよ。JBJの活動が終わったら、もう会うこともないだろうなと(笑)。JBJの時はルームメイトだったんですけど、その時もまだSANGGYUNが何を考えているのか全然わからなかったし、仲よくなれないと思ってました(笑)。だから2人での活動が始まった時もとても心配でした。他にメンバーがいるならともかく、僕とSANGGYUNの2人しかいないので、頼れる人はこの子しかいないのに大丈夫かな?って。

――それなのになぜ2人で一緒に活動することになったんですか?

KENTA:なんでだっけ…?たしか最初はJBJの中から何人か集まってユニットを作ろうというだったんですよ。それが結局、いろんな都合で僕たち2人だけが残ったという…。

SANGGYUN:そうだったよね。だから正式なグループというよりは、当時はただ同い年で何かやってみようというくらいの軽い気持ちでした。それからいろいろあって、今に至ります(笑)。

■KENTAはいい意味で昔から変わらないと思います(SANGGYUN)

――それから7年、いろんなことがあったと思います。今まで一緒に過ごしてきた時間の中で、相手への印象はどのように変わりましたか?一緒にやっていけるという自信が生まれたのはいつ頃ですか?

SANGGYUN:その後、僕たちは会社を出て2人だけで活動しなくちゃいけなくなったんですが、そういった中で2人で暮らすようになり、紆余曲折を経て、KENTAと一緒ならやっていけるという確信が徐々に持てるようになりました。同じ悩みを共有して、話もたくさんして、そういった時間が僕らの今の関係を作ってくれたんだと思います。

KENTA:宿舎で一緒に生活するのはある意味、義務じゃないですか。会社に言われてのことですし。だから宿舎を出るとなった時、僕は一人暮らしをするつもりで住む場所を探していたんですよ。でもSANGGYUNと話をするうちに、一緒に暮らした方がいいんじゃないかと言ってくれて、今度は同居人として同じ家に住むことになったんです。それが2021年のことですね。宿舎にいた時は2人とも自分の部屋に閉じこもっていたけど、今は家にいる時は一緒にごはんを食べたりいろんな話をしたり、2人で顔を合わせる時間が増えました。2人でやらなくちゃいけないことが増えた、というのもあります。これからどんな活動をしていくかについても話し合わないといけないから、そういう時はおたがい本音を出さないといけない。以前だったらマネージャーが間を取り持ってくれたけど、今は僕たち自身がマネージャーの役割もしなければいけないので、2人で話し合わないといけない状況になったんです。そうなって初めて、この子はこういうことを考えていたんだ、こういう大変なことがあったんだ、こういうことが好きなんだというのを一つひとつ知っていって、仲よくなって、居心地が良くなった、という感じですね。だからきっかけと言えるのは、宿舎を出た時ですね。

――そうだったんですね。

KENTA:もちろん、それまでも仲が悪かったわけじゃないですよ。ただ、それまではあくまでメンバー同士という感じだったんです。

SANGGYUN:言葉で説明するのはちょっと難しいんですけど…。僕はそれまで宿舎に10年くらい住んでいて、今はKENTAと2人で家賃を払って暮らしているんですよ。家の名義はKENTAですけど(笑)。2人での生活は大変なこともたくさんあったけど、今ではいろんなことが上向いてきて、僕自身もこの生活にだいぶ慣れました。

KENTA:SANGGYUNは、僕から意見を聞かないと何も言わない子だったんですよ。例えば「今のどう思う?」とか「これはどう?」って僕が聞いて初めてSANGGYUNが意見を言う、という感じで。それが、ある時から自分から率先して意見を話し始めて、それがいつだったのかはっきりとは覚えていないんですけど、とにかくそんな風に変わったんですよね。その時、僕という人間がSANGGYUNにとってようやく居心地のいい存在に変わったんだなと感じたし、初めて彼とやっていけそうだと思えるようになりました。SANGGYUNはその時のこと覚えてる?

SANGGYUN:僕の性格は、日常生活をするのに少し不便なんですよ(笑)。人と対峙するのが難しいというか…。そんな僕の性格が、KENTAと過ごしていくうちに少しずつ変わっていきました。自分の感情を恐れず表現できるようになったし、自分の意見もしっかり伝えられるようになりました。そういった部分はKENTAが僕を導いてくれたし、そのおかげで僕の性格が徐々に変わっていったというのが、僕にとっては一番大きかったと思います。僕から見たKENTAは、変わったところはほとんどないです。もちろん人として成長はしていると思いますが…。

KENTA:それっていいことじゃなくない!?(笑)

SANGGYUN:悪い意味ではないよ。KENTAはいい意味で昔から変わらないと思います。

■これからも“日韓デュオ”だからこそできることを(KENTA)

――30代を目前にした今、アーティストとして活動しながら何か新たに挑戦してみたいことはありますか?

SANGGYUN:いわゆる普通のアイドルは会社と契約して活動をするじゃないですか。でも僕たちは同じ年代の人たちよりも早く独立して活動を始めたので、そういったところでより広い視野を持っていると思います。なので、これからも僕たち自身がやりたいことをやっていきたいですね。誰かが作ってくれたものではなく、もちろん僕たちに協力してくれるスタッフはたくさんいますが、僕たちが主体となってできる活動をたくさんしていきたいです。そして僕たち自身が手掛けた音楽やコンテンツで、僕たちという個性をより強く見せていけるような活動を続けていきたいです。

――これからも日本でもたくさん活動してください。

SANGGYUN:日本での活動は本当に楽しいです。前回、僕たちが日本で公演をしたのが2022年だったんですけど、その時の印象がすごくよかったから、去年は楽しいことがあまりなかった気がします(笑)。でもその時の思い出があったから2023年は生きていけたんですよね。だから今回も日本でいい思い出をたくさん作っていきたいです。

KENTA:僕たちは“日韓デュオ”であるということが強みだと思うんですよ。これは僕たちしか持っていないものだと思っていて、音楽性とまた別のところの、僕たち自身のキャラクター的な魅力だと考えています。これは韓国でも強みだし、日本においても強みになるんじゃないかと。SANGGYUNが兵役に行っている間は僕がこの場所や守らなきゃいけないし、その責任を果たすためにも来年からは1人でできることをどんどんやっていきたいと思っていますが、SANGGYUNが帰ってきたら日韓デュオだからこそできることを、音楽以外のことでも、いろんな活動をしていけたらと考えています。今、韓国ではJ-POPがすごく流行っていますし、日本でも相変わらずK-POPが好きな人が多くて、日韓関係は前よりはだいぶよくなりましたよね。そういった中で僕たち2人も、いろんな角度からアプローチしていけるグループになれたらいいなと思っています。

――日本のファンのみなさんに伝えたいこと、そしておたがいに向けて伝えたい言葉はありますか?

SANGGYUN:日本のファンの方にとっては、僕が兵役に行くということ自体が少し受け入れるのが難しいことだと思うんですよ。韓国のファンの方よりなじみのないことだと思うし…。僕自身、その間のことを考えると悩みが尽きません。ひょっとすると日本のファンの方の中には、入隊中は僕とまったく連絡が取れないとか、もう会えないと思っていらっしゃる方がいるかもしれないんですけど、僕が活動できないことでみなさんが寂しさを感じたり、不安にならないように、できるだけみなさんとやり取りするようにしますし、僕にとっても大切な時間になるように務めていきます。なので、僕がいない間も待っていてくれたらうれしいです。そしてKENTAには、今回のアルバムとファンミーティングを含めて、今年の活動はKENTAが本当にがんばってくれたんですよ。KENTAとは長く一緒に過ごしてきたけど、その中で本当にたくさん苦労したし、いろんな困難も経験してきたけど、僕たち自身でいろんなことにチャレンジできるようになった今、これからが本当に楽しみだねと言いたいです。

KENTA:今回、久しぶりに僕たちの新曲が出て、これからという時にSANGGYUNが入隊することになってしまったので、残念に思っている方もいらっしゃるかもしれません。でも2年という時間はあっという間だと思うので、その間は僕と一緒に遊んでいただけたらうれしいです。この場所を守るのは僕の責任ではありますが、チャックン(※ファンの愛称)のみなさんにも一緒にお手伝いしていただけたら助かります。みんなで地盤を固めて、SANGGYUNが帰ってきた時にまた力強くスタートできるような場所を作りたいと思うので、来年からもよろしくお願いします。そしてSANGGYUNには、元気に行って無事に帰ってきてほしい、これだけですね。今生の別れでもないですし、おいしいものをたくさん食べて、元気にファイティンしてください、とだけ(笑)。それとSANGGYUNが新曲について、僕がたくさん苦労したと言ってくれたんですけど、SANGGYUNこそすごくがんばってくれたんですよ。このことはぜひみなさんに伝えたいですね。

取材・分=尹秀姫