衆院選「逆風自民vs.分裂野党」不安要素も 北の激戦区で因縁の対決再び 北海道11区

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 衆議院選挙の投開票は27日に行われます。これまで北海道で自民党と立憲民主党の女性候補による対決が何度も繰り広げられてきました。今回は、逆風に直面する自民党と、分裂する野党という不安要素をそれぞれ抱えています。

【画像】各候補者が切実な訴え 新たな候補者も…

■「中川王国」継承 自民・中川郁子候補

 北海道11区から立候補した自民党前衆院議員・中川郁子候補(65)は「十勝を、日本をいい地域にしていきたい」と述べました。

 元農水大臣の義父・中川一郎氏から続く「中川王国」と呼ばれた地盤を、2009年に元財務大臣の夫・昭一氏が急逝した後、中川候補が引き継ぎました。

 2012年に初当選し、次の2014年の選挙でも連続当選しましたが、直近の2回は小選挙区で立憲民主党・前衆院議員の石川香織候補(40)に連続で敗れています。(2021年は比例復活)

中川候補
「政治資金の問題で十勝の皆さんにも大変なご心配をおかけし、逆風の中で選挙を戦っています」

 中川候補はいわゆる裏金議員ではありませんが、党として逆風が吹くなか次のように訴えました。

中川候補
「この北海道農業、全国で食料自給率をしっかり応援できているのは北海道農業でありますので。食料安定供給のために、北海道が果たす役割、このことを新しい食料基本計画に織り込んでいくことがとても重要だと思っています」

 北海道11区は帯広市を中心とする広大な十勝平野で、有権者の多くが酪農や畑作などの農業従事者です。厳重な警備態勢が敷かれるなか、応援に駆け付けた自民党・麻生太郎最高顧問(84)が語ったのも農業の話です。

麻生氏
「俺のところは九州。『あまおう』なんてイチゴ作ってるよ。イチゴ作ってるおかげで海外に輸出してる。そして、もうかってるよ」

 麻生氏の演説後、マイクを握った中川候補が口にしたのは、2009年に亡くなった夫の話でした。

中川候補
「私の夫、中川昭一は『麻生太郎先生を内閣総理大臣に押し上げたい』と、この夢のためにずっと戦っていました」

 麻生氏は夫・昭一氏のことを「昭ちゃん」と呼んでいて、生前、2人が仲良く談笑するシーンはたびたび見られました。

中川候補
「私たちが今生きている社会は、過去の先人の皆さんが願ってやまなかった未来です。私たちはその未来を明るくするために、照らすために頑張っていかなければいけないと思います」■「危機感」立憲・石川香織候補

 一方、対峙(たいじ)する立憲民主党・石川候補が訴えていたのは「地域農業の発展」です。

石川候補
「頑張っても所得が伸びない。その仕組みがおかしいということで、民主党政権時代にあった個別所得補償制度をブラッシュアップして、直接支払制度の重要性を訴えています」

 中川候補と争うのは3回目で、過去2回とも勝利していますが、前回はわずか6000票差でした。

石川候補
「今回の選挙戦は3回の中で一番厳しい」

 これまで中川候補との一騎打ちだったところに、今回は共産党から新たな候補者が立候補しています。

石川候補
「厳しいです。単純計算では明らかに私の票が足りない。今まで共産党に入れていた人が共産党にそのまま候補に入れるとしたら、引き算したら、やっぱり自民候補よりも全然足りないので」

 今までにない危機感…。応援に駆け付けた立憲民主党・枝野幸男最高顧問は、自民党への批判を強めます。

枝野氏
「裏金の政治じゃダメ。今の政治を大きく変える。そのために、この選挙は大変大事」石川候補
「政治とカネ、この問題で政治不信が渦巻いていて、誰に話を聞いても自民党には任せていられない、自民党には本当に怒っているという声をたくさん聞かせていただいております」

 厳しい選挙戦も終盤に差し掛かるなか、有権者に一番訴えたいことは…。

石川候補
「政党同士の戦いではあるんですけど、やはり政党を構成しているのは一人ひとりの人間なので、人間の本質というか議員の資質とか、そういうところを見極めてもらうことが大事なのかなと」
「石川香織は皆さんに支えていただいて、熱意では絶対に負けないと思っておりますので、ここからが勝負です」■「初出馬」共産・佐藤耕平候補

 共産党から名乗りを上げたのが、初出馬となる共産党・佐藤耕平候補 (48)です。

佐藤候補
「裏金を作っていた自民党政治を、国民の皆様の力で大元から変えていく大事な選挙です」
「安保法制の廃止を(立憲民主党代表)野田さんは『今すぐには見直すとは考えていない』と言った。だから、今回は戦うしかないんです」

 今回、立憲民主党とは安全保障政策などで考え方が合わず、共闘関係が崩れる形となりました。

佐藤候補
「大企業の利益最優先の政治、そして、アメリカ言いなりの政治。社会のゆがみを大本から変えていく。そういう訴えが必要。そして、そういう政治に変えていく必要がある」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年10月24日放送分より)