悪質な利用で大分市の“授乳室”閉鎖 入室の7割が男性…タバコの吸い殻や酒の空き缶も “不適切利用”は新宿駅構内の「多目的トイレ」でも

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JR大分駅前にある授乳室が23日、悪質な利用が相次いだため閉鎖された。
市の調査によると、食べ物や飲み物のゴミ、タバコの吸い殻などが発見され、9日間の調査で授乳目的の利用は1回のみだったという。

不適切な利用が日常化…授乳室が閉鎖へ

JR大分駅前にある授乳室の中を撮影した写真には、手洗い場に食べ物や飲み物のゴミが汚らしく捨てられていた。

この授乳室は、市の調査で悪質な利用が相次いでいることが発覚し、23日午後5時をもって閉鎖されてしまった。

青井実キャスター:
閉鎖された授乳室は、大分市が子育て支援のため、JR大分駅の広場に2017年に設置したものです。授乳室で見つかったのは、食べ物や飲み物のゴミだけではなく、なんとタバコの吸い殻や酒の空き缶もあったといいます。こうした事態を受け、市は授乳以外の目的で利用しないよう、張り紙などで警告を続けてきました。

しかし、9月には授乳室入り口の向かい側の壁に、穴が開いているのが見つかった。
23日午前、取材に行ってみると、穴は紙で覆われていた。

青井キャスター:
これらの被害を受け、市が授乳室の入り口に設置した防犯カメラの映像を確認したところ、驚きの事実が分かりました。調査した計9日間(9月17日〜23日、10月12日・13日)で入室があったのは40回で、このうち乳幼児を連れた入室は、たったの1回のみだったそうです。

残り39回で72人が入室しましたが、その内訳は、男性が52人・女性20人と、7割以上が男性でした。防犯カメラ映像には、カップラーメンを手に、授乳室に入っていた人の姿もありました。こうした不適切な利用が日常化していることを受け、市は23日、授乳室の閉鎖に踏み切りました。

子連れの親:
急に赤ちゃんとか機嫌悪くなっちゃったりするんで、こういうところにあるのって、助かるママさんも多いと思うので残念。

子連れの親:
ショックでした。やっぱり生まれてすぐの子が使う神聖な場所なので、タバコとか使われるのはやっぱりちょっと嫌。

青井キャスター:
大分市は今後、授乳室の建物をほかの用途で利用できないか、活用方法を検討するということです。

スペシャルキャスター・岩田明子さん:
本来使いたい人たちが使えなくなってしまっていて、本当に残念だと思いました。この状態を放置すると、犯罪の温床にもなりかねなかったので、1回閉鎖して、また別の目的で使えるようにしたり、1回検討するというのは賢明な判断だったとは思いますね。

「そこしか使えない人がいることを知ってほしい」

青井キャスター:
実はこうした“不適切な利用”は、全国各地の「多目的トイレ」でも相次いでいるんです。東京・代官山で聞きました。

50代:
ティッシュが散乱してたり、開けて「あっ」て思って別に行くとか、もう我慢してしまうっていうのはある。

30代:
食べ残しとか、子どもが使ったんじゃないよねっていうジュースとか、ペットボトルとか結構散乱してたりとか。ここで子ども座らせておむつ変えたり、ミルク、ご飯ってどうなんだろうと思う。

青井キャスター:
「多目的トイレ」を不適切な利用で困っているのは、子連れの人だけではありません。車イスで生活をする中嶋さんにお話を伺いました。

車いすインフルエンサー・中嶋涼子さん:
ハロウィーンの時に新宿の駅構内のトイレに行ったら、壁に血のりがいっぱいついていて、ウィッグが落ちてて、カラーコンタクトも落ちてて、“惨殺現場”みたいになっちゃってて、びっくりした時があって。そこしか使えない人がいることを、もっともっと知ってほしい。

青井キャスター:
国土交通省が2024年3月に発表したデータによると、「多目的トイレ」を利用する理由は、「一般トイレが混んでいたから」が47%と最も多く、子連れの人や障害者以外の利用も多い実態が分かりました。はたして、授乳室や多機能トイレなどの公共施設の不適切な利用は、どうすれば減らしていけるのでしょうか。専門家にお話を伺いました。

ジェンダー問題にくわしい・勝部元気さん:
性善説ではうまくいかなくなる問題は、今後もたぶん増えていくのでは。例えば「男性の利用は禁止」とか、直接的に「あなたはダメ」という書き方や警告をした方がいい。
(「イット!」10月23日放送より)