2024年2月に発売されたApple Vision Proについて、「需要が少なすぎる」ことを理由に2024年11月以降生産が縮小される見通しであると海外メディアのThe Informationが報じました。

Apple Sharply Scales Back Production of Vision Pro - The Information

https://www.theinformation.com/articles/apple-sharply-scales-back-production-of-vision-pro



Report: Apple May Stop Producing Vision Pro by the End of 2024 - MacRumors

https://www.macrumors.com/2024/10/23/apple-may-stop-producing-vision-pro-by-end-of-2024/

Apple Vision ProはAppleが2024年2月2日に発売した複合現実ヘッドセット型コンピューターです。2024年のブレークスルー技術トップ10に選出されるなど高い期待が持たれていましたが、一番廉価な256GBモデルでも税込59万9800円と高額で、簡単には手が出せない商品となっていました。

日本では2024年6月28日に発売されました。Apple Vision Proがどんなデバイスなのかについては下記の記事を読むとわかります。

約60万円のApple初となる高級MRヘッドセット「Apple Vision Pro」がついに日本で発売されたので開封&セットアップしてみた - GIGAZINE



2024年10月時点で、Apple Vision Proの組み立てを担当する中国企業Luxshareは1日あたり約1000台のApple Vision Proを製造しています。しかしApple Vision Proはコンテンツ不足と価格の高さによって需要が低迷しており、AppleはLuxshareに対し「11月に生産を縮小する可能性がある」と伝えたとのこと。

ただし、Apple Vision Pro向けの部品を製造するサプライヤーの生産縮小はすでに始まっており、早いところでは2024年5月にApple Vision Pro向け部品の製造を中止した工場もあるそうで、The Informationは「これは倉庫には数万個の部品が積み上がっていて、2025年までの需要に応えられる量が確保できていることを示す手がかり」と報じています。

Appleは第2世代の製品である「Vision Pro 2」の開発を停止し、先により安価なヘッドセットの開発を急いでいるとのこと。

Appleが2025年に約30万円の廉価版Apple Vision Proをリリース予定、2026年に「Vision Pro 2」・2027年にはスマートグラスとカメラ付きAirPodsのリリースを計画中との報道 - GIGAZINE



Appleはサプライヤーに対し、廉価版ヘッドセットの合計製造台数の目安としてApple Vision Proの半分である400万台という数字を伝えたとリークされており、廉価版の販売見込みはさらに下がる模様。

ウォール・ストリート・ジャーナルによるインタビューにおいて、AppleのCEOであるティム・クック氏は「60万円という価格は大量生産できる製品ではありません」「現時点では、これは早期導入者向けの製品です。明日のテクノロジーを今日手に入れたい人、それがこの製品の対象です。幸い、そうした人たちが十分にいるので、ワクワクします」と語りました。

エンジニアが集うニュースサイト「Hacker News」では、「Apple Vision Proは誰かがキラーアプリを思いつくことを期待して販売した開発キットのように感じる」「名前以外は事実上『開発キット』だけど、開発キットという名前では売れなかっただろう」などとコメントされています。