事件当時、東京家裁の1階周辺を調べる捜査員ら(2019年3月20日)

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 東京・霞が関の東京家裁で2019年、離婚調停中の妻を殺害したとして殺人罪などに問われた米国籍の男性被告(38)について、東京高裁(田村政喜裁判長)は22日、心神喪失を理由に無罪とした1審・東京地裁の裁判員裁判判決を支持し、検察側の控訴を棄却する判決を言い渡した。

 23年10月の1審判決は、被告が妻(当時31歳)の首をナイフで切りつけて失血死させたとした上で、「統合失調症による妄想や幻聴の影響で心神喪失状態だった」と判断。刑事責任能力はなかったと結論付けた。

 検察側は控訴審で、「妄想などの存在を示す事情はなく、被告は正常な心理状態で犯行に及んだ」と1審に続いて完全責任能力が認められると主張。これに対し、高裁は「検察側は妄想や幻聴が虚偽との立証はできておらず、1審判決を覆すには足りない」と退けた。