神戸〜関空が30分!? 悲願の「大阪湾アクアライン」計画のスゴさとは 兵庫県が掲げる「ものすごい高速道路」はいつ開通するのか
夢の「大阪湾アクアライン」構想って!?
大阪府南部にある関西国際空港と、兵庫県の中心地・神戸市街は、直線距離だと30kmにも満たない近さです。しかし実際は大阪湾があるため、クルマでの移動は、大阪湾をぐるっと回り込んで、70km以上も走る必要があります。
そんな近くて遠い関空〜神戸に、最短距離でむすぶ道路整備構想があります。
まるで「東京湾アクアライン」の関西版とでも言うべき構想路線、いったいどんなものなのでしょうか。
“大阪湾アクアライン”の構想をぶち上げているのは、兵庫県が2018年に策定した道路ネットワーク整備の基本方針「ひょうご基幹道路のあり方」です。
【画像】超便利!? これが「大阪湾アクアライン」の計画ルートです(30枚以上)
これは、社会のあり方が大きく変化する中、新たな価値観や県民のニーズをふまえ、「2050年」の基幹道路ネットワークの目指すべき姿と、基幹道路の有効活用や機能強化などの留意事項を示したものです。
さて、その中で「阪神港・関西3空港へのアクセス強化」「広域周遊ルートの利便性向上」「県内外の各地域との移動時間の短縮」として構想路線に挙げられているのが、この“大阪湾アクアライン”です。
「あり方」のメインテーマは、今まさに建設中の「阪神高速5号湾岸線延伸」や、事業化をめざす「播磨臨海地域道路」など、2050年までに整備を目指す具体的な計画です。
いっぽうそれに混じって書かれているこの「構想路線」というのは、「2050年までに整備しよう」という意思表示でありません。あくまで「社会経済情勢の変化に応じて、整備の検討が必要な基幹道路」という扱いになっています。
もう少し詳しく見てみましょう。この「あり方」を具体化したのが、翌2019年に策定された「ひょうご基幹道路ネットワーク整備基本計画」です。
これは漠然と「30年計画」どまりだった「あり方」を、10年スパンで前期・中期・後期にそれぞれ何をどう整備検討するか、整理したものです。
ここで“大阪湾アクアライン”はどう書かれているかというと、「関西3空港の一体運営による伊丹・神戸空港の国際化の推進」「国際コンテナ戦略港湾として競争力強化が進む神戸港の更なる活性化による交通需要の拡大」「世界最先端の産業集積やイノベーションの一層の拡大」「五国(兵庫県各エリア)の魅力に惹かれて訪れる外国人旅行客の増加」という大きな情勢変化が起こった場合に、必要になってくるであろうとされているのです。
実現すれば、神戸空港〜関西空港はわずか27km、移動時間はわずか30分と試算されています。橋なのか海底トンネルなのかは、はっきりと示されていません。
いっぽう、実現にあたっては「大阪湾横断鉄道構想」を念頭に置くべきとし、道路か鉄道のどちらになるかはわかりません。鉄道構想は1995年に兵庫県が策定した「ひょうご二一世紀交通ビジョン」で新たに位置付けられたもので、基礎的な検討を行っていくとしており、その後の音沙汰はありませんが、構想としては生きているようです。
肝心の進捗ですが、県議会はおろか国会でも特に議論された形跡はありません。官民連携で関空・伊丹・神戸の3空港のあり方を話し合う「関西3空港懇談会」の14回目が2024年7月に開催されましたが、特に「横断道路」は議題に上がっていません。
とりあえず「ロマン枠」として鎮座しているのが現状の“大阪湾アクアライン”ですが、兵庫県が述べるように「社会情勢の変化」がいつやって来るかは未知数です。もしかすると、近い将来に連絡道路整備の機運が高まっていくかもしれません。