僕のヒーローアカデミア

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台湾の女性ファッション誌・Bella儂儂は、現在台湾で上映中の映画「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト」が大ヒットした要因として、5つのポイントを紹介した。(本記事はネタバレを含みます)

記事はまず、一つ目を「米国での爆発的人気」だとし、「『僕のヒーローアカデミア』は、すでに累計1億部を突破した日本の漫画で、『鬼滅の刃』『呪術廻戦』と並び、『週刊少年ジャンプ』の新世代の3本柱とされている。同作品にはアメリカンコミックの『ヒーロー』の概念が取り入れられており、特殊なスーツを着て犯罪と戦い、世界を救うヒーローたちが登場する。特に作中の重要キャラクターで『平和の象徴』と称されるオールマイトは、まさにアメコミヒーローそのもの。彼の技名も米国の地名から取られており、米国へのオマージュが色濃く反映されている。また、『スーパーヒーロー』という概念が米国ではすでに広く普及していることも、この作品が北米市場で大ヒットを記録した理由の一つだろう。『ドラゴンボール』や『NARUTO−ナルト−』に続き、米国で大成功を収めた日本アニメの代表例となった」と論じた。

二つ目は「反対の設定」だとし、「アメリカンコミックのヒーローは少数の人々が偶然もしくは覚醒して手に入れた超能力を使って犯罪と戦う、体制外の力を象徴する存在であることが多い。たとえばマーベル・コミックに登場する架空の組織・S.H.I.E.L.D.やアベンジャーズでも、その本質は変わらない。しかし『僕のヒーローアカデミア』では、反対の設定が採用されている。世界観としては、ほとんどの人が生まれながらにして超能力を持っており、その能力は血統を通じて遺伝することもある。超能力を持たない人は少数であり、その能力は『個性』と呼ばれ、生まれつき備わっている特質とされている。そのため、誰もが自身の個性を使って世界を救うチャンスがあり、『ヒーロー』という職業が、専門学校や資格試験もある、政府の管理下に置かれる社会の一部として存在している」と説明した。

三つ目には「二元対立」を挙げ、「多くのヒーロー物語と同様に、『僕のヒーローアカデミア』にも二元対立の世界観がある。作者は『One for all,all for one(ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために)』という有名な格言を使っている。このフレーズはアレクサンドル・デュマの『三銃士』に登場する名言であり、スイスの建国の標語にもなっている。同作品ではこのフレーズが分割されており、主人公が持つ『ワン・フォー・オール』という個性は、代々受け継がれて力を増していくもの、反対に敵側の『オール・フォー・ワン』は他者の力を奪うことで強くなる能力とされている。どちらも力を得る手段だが、得る方法は正反対。この二つの力の起源はとある兄弟にあり、与える者と奪う者、善と悪という対立の象徴として描かれている」と論じた。

四つ目に「最後の劇場版となる可能性」を挙げ、「これまで『僕のヒーローアカデミア』は4本の劇場版が公開されており、アニメの進行に合わせて制作されてきた。現在、台湾で上映中の『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』は第6期の後のスピンオフ的なストーリーだが、第7期が最終章に突入しているため、もしかするとこれが最後の劇場版になるかもしれない。同作品では、『平和の象徴』と称されるヒーロー・オールマイトにそっくりな敵(ヴィラン)・ダークマイトが現れ、社会の混乱を利用して新たな秩序を築こうとする物語。全面戦争の影響で街が壊滅寸前となり、巨大な要塞が突然出現する。市民が飲み込まれる大規模な戦闘が展開され、主人公・緑谷出久(みどりやいずく)と仲間たちが街を救うために再び立ち上がる」と紹介した。

五つ目は「すべてがそろった一作」とし、「『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』は、これまで作品を追い続けてきたファンにとって非常に感慨深いものだ。同作品では絶え間ない戦闘シーンで、観客が期待しているさまざまな合体技が登場する。特に、人気キャラクターの緑谷出久、爆豪勝己(ばくごうかつき)、轟焦凍(とどろきしょうと)の3人による連携攻撃のシーンでは、名曲『You Say Run』のBGMとともに、盛り上がりが最高潮に達する。また、アニメ版ではあまり見られないカメラワークや戦闘の特殊効果があり、大スクリーンでの圧倒的な鑑賞体験が楽しめる」と結んだ。(翻訳・編集/岩田)