リーグ優勝が決まり、喜ぶ菅野(中央)ら巨人ナイン=9月28日、マツダスタジアム

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 プロ野球は結果を残せなければ生き残れない、厳しい世界。

 現役時代に巨人一筋で19年プレーした阿部監督は、苦楽を共にした仲間が無念にもチームを去る姿を何度も見てきたから、それがよく分かる。

 目指すのは優勝のみ。心を鬼にして厳しい言葉で主力選手に奮起を促した。「(課題が)分からなければ、1軍にいなくていい」「ベテランがぴりぴりするような若手が出てくれれば」

 こうした指揮官の覚悟が、主力の危機感を刺激した。丸や吉川は定位置を約束されず、ここ数シーズンは不振だった菅野が、進退を意識させられたほど。2年連続Bクラスからの復活を目指すため、これまでレギュラーだった選手にも変化が求められた。

 チャンスは公平に与えて評価した。オープン戦で好成績を残した新人の西舘や佐々木が開幕1軍入りを果たした一方、昨季は好調だった門脇、秋広らは状態が上がらず出番を大きく減らした。長年チームを支えた坂本も、2軍落ちを経験した。

 ただ、最後の最後に監督が頼りにし、その期待に応えてくれたのはベテランだった。「いろんな修羅場をくぐってきた人たち。信じて使うだけ」。坂本は優勝への天王山となった9月23日の阪神戦で、代打で決勝打を放つなど貢献。39歳の長野も優勝マジック点灯後、複数安打を放つなど奮起した。

 岡本和は本塁打と打点でリーグ上位につけ、丸も打率で一時トップを争うなど高いパフォーマンスを発揮した。好調な投手陣に吉川、門脇らの堅守も光り、失策と失点はともに9月30日時点でリーグ最少。ベテラン、中堅、若手がそれぞれ役割を果たし、最後は総合力で他球団を上回った。