近く経済対策策定へ、解散時期も焦点 石破新内閣に期待の声

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Takaya Yamaguchi Yoshifumi Takemoto

[東京 27日 ロイター] - 岸田文雄首相の後任となる自民党総裁に石破茂元幹事長が選出され、10月1日に新内閣が発足する。総裁選に先立ち、石破氏は早期の経済対策策定を訴えており、近く物価高対策を柱とする対策策定を表明する見込みだ。新内閣に期待する声が広がる中、政権浮揚をにらみ衆院解散・総選挙にいつ打って出るかも焦点となる。

総裁選は、衆参両院の議長を除く国会議員票368票と、同数の党員・党友票(368票)を合わせた736票で争った。1回目の獲得票トップは高市早苗経済安保相で181票、次いで石破元幹事長が154票だった。

史上最多となった総裁候補9人のうち、石破氏、高市氏、小泉進次郎元環境相が有力視されていた。決選投票では石破氏が215票を獲得し、高市氏(194票)に競り勝った。高市氏の躍進を巡り、為替が乱高下する一幕もあった。

石破氏は選出後、「日本をもう一度、みんなが笑顔で暮らせる安全・安心な国にするために全身全霊を尽くしていく」と決意を語った。

党総裁選を受け、経団連は、地方創生や防衛分野をはじめ幅広い政策に精通し、経験豊富な政治家と評価した上で「経済界との連携をより一層、密なものとし、課題解決に取り組んでもらいたい」と石破氏への期待を表明。中国、韓国、台湾など近隣各国からも、前向きな関係構築や祝意が示された。

石破氏は、10月1日に召集される臨時国会で首相に指名され、速やかに組閣作業に移る運びだ。9月30日には党役員人事を固める。人選に関し、総裁選後の記者会見では「人事はまだ白紙」と述べるにとどめた。

総裁選に先立つ政策集では「早急に経済対策を策定し、成長戦略を取りまとめ、その実現に向けて政府・与党一丸となって取り組む」と明記した。生活必需品の価格上昇や、住宅ローンなど金利上昇への緊急対策にも触れた。

現政権が電気・ガス料金とガソリン価格など物価高騰対策として予備費からほぼ満額(1兆円のうち9891億円)を拠出したことから、災害対応を除き、緊急に使える資金は残っていない。

物価高対策を巡り、石破新総裁は「食料品やエネルギー(価格の抑制)にどういった政策が効果があるか、よく見極める」と述べた。選挙に伴う政治空白を招くことなく、速やかに対策を練り上げられるかが課題となる。

衆院解散にいつ打って出るかも焦点となる。新政権発足後の「いずれかの時期に信を問う」とする一方、総裁選後の記者会見では「(首相指名を受けた)その時に判断をきちんとしていかなければならない」と述べ、依然として明確な態度を表明していない。

複数の政府、与党関係者によると、衆参両院での代表質問は、10月7日から3日間の日程を想定する。代表質問を挟んで9日に解散すれば10月15日公示、27日投開票とする日程が視野に入る。

一方、代表質問後に予算委員会を開き、29日公示、11月10日投開票とする案も残る。

岸田政権が21年10月31日投開票の衆院選を挟んで策定した経済対策は、10月8日の策定指示から2カ月余りで裏付けとなる補正予算の成立までこぎ着けた。

能登半島地震の被災地の大雨被害を巡り、立憲民主党の野田佳彦代表は衆院選前の補正予算成立を求めている。選挙日程が後ずれすれば、補正予算の年内成立が危うくなる。