まるで「猫神様」!? 猫写真家が出会った「神々しい猫」

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「今まで見たことない」「見ていて笑っちゃう」――あの糸井重里さんや黒柳徹子さん、藤あや子さんらも絶賛のベストセラー猫写真集『必死すぎるネコ』シリーズをはじめ、コミカルで愛おしい猫たちの決定的瞬間を収めた猫写真集を多く世に出し、話題を集めている猫写真家・沖昌之さん。

「カメラを持った人間がウロウロしているなんて、猫にとっては不自然極まりないこと」。怖がらせたり不安な気持ちにさせないようにと“猫中心”の配慮を欠かさない沖さんだからこそ、その撮影された写真には、厳しい環境下で暮らしていることから警戒心の強い外猫たちのイメージが大きく覆されるような、躍動感やユーモア溢れる生き生きとした猫たちの姿が映っています。

そんな沖さんが、2024年10月10日より【沖昌之写真展「ネコなんです。」】を開催することに! FRaU webでは、写真展で泣く泣く公開しないこととなったカットの中から、経緯深い猫たちの写真とそのエピソードを伺いました。

第1回目は、偶然が重なったことで出会うことのできた、神聖な猫ちゃんとのお話をお届けします。

まるで「猫神様」!? 神の住まいで涼むネコ

「人間よ。いつまで私を見ているのだ……」

2014年くらいからたまに訪れていたお寺にはお稲荷様の祠があって、当時からしょっちゅう訪れてはお賽銭を入れていました。このお寺には猫がいることを知っていたのですが、僕はまだこのお稲荷様のところに猫が来ている様子は見たことがありませんでした。

それから数年経った2018年7月の末、当時住んでいたマンションの管理人さんがそのお寺の隣の境内で行われている朝のラジオ体操の当番をされていたようで、偶然外で出会った際に、「おやつももらえるからおいで」と、これおっさんに言うことかな?っていう誘い文句で声をかけてくださったんです(笑)。

後日、ちゃんと早起きしてラジオ体操をしに行ったわけなのですが(笑)、その帰りに「せっかくここまで来ているし、あのお稲荷様にもお賽銭入れに行こか〜」と、何の気なしに遠目で見たら、祠のあたりに“茶色いもの”が薄っら見えて、「えっ!?」となりまして……。

とはいえ、ラジオ体操をしてお菓子をもらうつもりでこの場所に来ていたので、当然カメラなんて持ってきていなかったんです(笑)。一瞬、携帯で撮ろうかとも考えたのですが、やはりもったいない!と思い、慌てて自宅までカメラを取りに走りました。トータルで大体8分ぐらいかな。戻ってきてみたら、ちゃんとさっきと同じ場所で待ってくれていて。それで撮れたのがこちらの一枚です。

体が大きいのになぜかここに窮屈そうに入っていて、視界を遮っているその柱は嫌じゃないんかな? ここの何が良いんやろう? とも思ったのですが、もしかしたらこの時間帯だとこの場所が涼しかったのかもしれませんね。

近づいたら逃げられちゃうなと思い、最初は斜めから撮影したりもしていたのですが、やはり真っ正面から捉えたいなと思って。息をひそめながらゆっくり正面に移動して「どの角度が一番良いんやろう?」「もう少し待って。まだ動かないでね」なんて心の中で願いながら撮影した一枚です。

「猫の内面を撮りたい」普通のサラリーマンが猫写真家になった意外な経緯