銀座の日本料理店というだけで尻込みするのに、1万円超の朝食なんて想像つく?しかも店主は、五つ星ホテルの総料理長時代、米国の雑誌で朝食を世界一と評された稲葉正信さん。しがないライターの飯田は震える手で店の格子戸を引いた。

銀座の日本料理店というだけで尻込みするのに、1万円超の朝食なんて想像つく?しかも店主は、五つ星ホテルの総料理長時代、米国の雑誌で朝食を世界一と評された稲葉正信さん。しがないライターの飯田は震える手で店の格子戸を引いた。

これぞ和の醍醐味!禅の世界観を楽しむ食体験『銀座稲葉』

白木のカウンターに座ると、目の前にはおくどさん(京ことばで竃のこと)。凛とした空気の中で、まずは目覚めの一杯。果肉たっぷりのオレンジジュースがとろっと豊潤で口福だ。

『銀座稲葉』おくどさんを望むカウンター席は、食の舞台の特等席だ

続く、玉地蒸しは、生姜餡が品よく舌に優しい。

『銀座稲葉』本日の豆腐料理は、桜エビや湯葉が入った玉地蒸し

店内に音楽はなく、その静けさはどこか禅の世界を思わせる。羽釜でご飯が炊き上がる音が聞こえてきたら、膳の盛り付けが始まった。岩手白金豚の角煮、真鯛のゴマ醤油がけ、伊勢エビとアワビの天ぷらなどが並んだ、この日の本膳。

朝食 1万1000円

『銀座稲葉』朝食 1万1000円 精進料理と茶懐石を融合。禅宗をイメージした独自スタイルの本膳は約10品。内容は季節で変わる

筍や山菜も旨く、心がホクホク〜。ご飯は、白米と玄米が選べ、どちらもみずみずしい甘みで無限に食べられそう。

『銀座稲葉』炊きあがったご飯の湯気、卵を焼く音までワクワク

出汁巻き玉子の美しい色合い!

気づけば、炭火の香りと煙が立ち上り、ジュ―、パチパチッ。おくどさんで魚と出汁巻き玉子が焼かれている。静から動へ。舞台のような臨場感に大興奮!

『銀座稲葉』炊きあがったご飯の湯気、卵を焼く音までワクワク
『銀座稲葉』本膳の後のひと皿。出汁巻き玉子がじゅわっと旨い

炭火焼きの魚や肉を楽しみつつ、おかわり祭りにも突入だ(驚)。ご飯のお供がどんどん提案されるから、「ならばいろいろ食べた〜い」と、奥久慈卵のTKG、削りたてカツオ節や焼きたて海苔をご飯にフワッ。膳に残っていた真鯛を茶漬けにもしてくれて最高ッ!

『銀座稲葉』おかわりも楽しい。枕崎産本枯節の削りたてをご飯に

さてみなさん、お気付きだろうか。最初の緊張はどこへやら。楽しくて満腹で震えています、ワタシ。デザートの後、お願いすると抹茶も点てて煎れてくれた。食の贅沢ってこういうことなのかも。日本人ならぜひ“体験”すべき朝食だと断言します!

『銀座稲葉』苺大福も朝作りたて。夏のデザートにはかき氷を予定

[住所]東京都中央区銀座8-12-15 1階
[電話]03-6260-6568(電話は12時〜17時)
[営業時間]朝食:10時半〜、土9時〜/10時半〜、ディナー:17時〜 休日、第4月 ※朝食は月・第4火
[交通]地下鉄銀座線ほか新橋駅1番出口から徒歩5分

撮影/西崎進也、取材/飯田かおる

2024年7月号

※2024年7月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。