水を注ぐだけ?飛田和緒が野菜を豪華な「ご飯のおかず」にする”水だし”レシピ

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料理家・飛田和緒さんが食材を無駄にしない方法をご紹介する「始末の料理」連載の後編。

夫は長期の海外出張が多く、娘は大学進学を機に遠方に住むようになり、ほぼ一人暮らしという飛田さん。一緒に暮らす家族の人数に合わせて、量は減らしたものの、冷蔵庫には常に2〜3種類の水だしが入っています。

前編「だしを取らないけど『毎食みそ汁は飲みたい』飛田和緒の冷蔵庫に必ず入っているもの」では、水に浸して置くだけで「だし」になる便利な「水だし」と、その使い方を紹介しています。

後編では、毎食のごはん作りをラクにしてくれる、昆布、かつお節、煮干しの3種類の水だしの取り方を紹介します。といっても、水を注いで冷蔵庫に入れておくだけ。

水だしの準備ができたら、まずは素材の持ち味を味わうシンプルな料理を作ってみましょう。

「水だし」は水に漬けるだけ

使いきりやすい水1ℓの分量です。たっぷりと使いたいときは、水を2ℓにしてだし素材も倍量にします。

●昆布の水だし

冷水筒やピッチャーなどに水1リットルとだし昆布15g(約8cm×15cm1枚)を入れる。冷蔵庫に1晩(6時間以上)置いたら使える。

●かつおの水だし

同様に、昆布のかわりにかつお節15gを入れれば、かつおだしになる。かつおだしは、目の細かいざるでこして使う。

●煮干しの水だし

同様に、煮干し10〜12尾(頭、腹ワタつきのまま)を入れれば、煮干しだしが取れる。「煮干しは沸かさずに使うと少し匂いが気になることがあるので、温かい料理に使うか、おひたしなどにする時は、いったん沸かして調味料と合わせて冷まして使います」(飛田さん)

●合わせ水だし

同様に、だし昆布(約8cm)とかつお節8gを入れれば合わせ水だしになる。かつおの水だしと同じようにざるでこして使う。

野菜1つのだし料理

水だしは一口で“おいしい”と感じる強い香りやうまみはありません。でも素材と合わせると、素材の持ち味がぐっと引き立って飽きない料理に仕上がります。

「だし汁をストレートに味わうならおひたしが一番。野菜だけのときは、濃いめの昆布とかつお節の合わせ水だしがおすすめです。肉や魚を使わない料理には、少量でもかつお節、煮干しの動物性のだしが入るとうまみが増します」と飛田さん。これからはほうれん草や小松菜などのゆでた青菜もおいしい。

きゅうりのおひたし

●材料(2人分)

きゅうり 1本

ひたし地

・合わせ水だし 1カップ

・塩 小さじ1/2

・薄口しょうゆ 大さじ1/2

●作り方

1きゅうりはスライサーで斜め薄切りにする。熱湯でさっとゆで、すぐに氷水にとって色よく仕上げる。

2ひたし地の材料を合わせ、水気を軽く絞った1を加えて30分おく。

なすのおひたし

●材料(2人分)

なす 2本

塩 少々

ひたし地

・合わせ水だし 1カップ

・塩 小さじ1/2

・薄口しょうゆ 大さじ1/2

かつお節 適宜

●作り方

1なすは皮をむき、水に5分ほどさらす。塩をふってもみ込み、1本ずつラップで包み、電子レンジ(500W)に2分かけ、取り出して冷ます。

2ひたし地の材料を合わせ、細く裂いた1を加えて30分以上おく。器に盛り、かつお節を散らす。

じゃがいものほっこり煮

「じゃがいもは、まず香りのよいごま油で炒めるとコクがプラスされ、煮崩れ予防にもなります。それから水だし汁で煮て調味。じゃがいもの甘みが増して、いもだけでもおいしいおかずに」(飛田さん)

●材料(2〜3人分)と作り方

じゃがいも 4個

合わせ水だし 適量

みりん 大さじ1

しょうゆ 大さじ11/2

ごま油 大さじ1

●作り方

1じゃがいもは皮をむき、4等分に切る。

2鍋にごま油を熱し、じゃがいもを炒める。油がまわったらひたひたまで合わせ水だしを加え、落としぶたをして弱めの中火で煮る。竹串がすっと通るくらいやわらかくなったらみりん、しょうゆを加え、中火にしてときどき混ぜながら煮つめる。煮汁が半量ほどになればでき上がり。

きのこの炊き込みごはん

「これからの季節、楽しみたいきのこの炊き込みごはん。きのこからもうまみが出るので、あっさり系の昆布だしが好みです」。米にもち米を混ぜて、少しもっちりと仕上げるのが飛田さん流の炊き込みごはん。

●材料(2〜3人分)と作り方

米 2合

もち米 1/2合

昆布の水だし 適量

しめじ 1パック

エリンギ 1本

にんじん 1/2本

油揚げ 1枚

塩 小さじ11/2

薄口しょうゆ 小さじ2

●作り方

1米は合わせて洗い、ざるに上げておく。

2しめじは根元を除いてほぐし、長さを半分に切る。太いものは縦半分に切る。エリンギは長さを3等分に切り、縦半分にして縦薄切りにする。にんじんは3cm長さの細切りにする。油揚げは厚みに切り込みを入れて開き、縦半分に切って細切りにする。

3炊飯器に1を入れ2合の目盛りまで昆布の水だしを加える。塩、薄口しょうゆを混ぜ、2をのせて普通に炊く。

4さっくりと混ぜ、器に盛る。

筆者の子どもの頃(かなり昔ですが)のこと。実家のみそ汁はずっと煮干しだしでした。母が便利なものが出たと誰かにすすめられたのか“だしの素”を買ってきました。さっそくみそ汁を作ったら、なんと祖父が激怒! 一口飲んで「いつもと違う!」と言うのです。祖父はグルメでもなんでもないですよ。だし汁はその家の味を作るんだなと思い出しました。

筆者はこれまでだしパック、ときどき煮出した合わせだしを使っていましたが、飛田さんに影響され、今では水だし派に。昆布とかつお節を常備しています。

料理に合わせて単独だったり、合わせたりしています。ただ使いきれるように量は3カップ分くらいと少なめ。本当に手軽なところがいい! おすすめです。

取材・文:相沢ひろみ

だしを取らないけど「毎食みそ汁は飲みたい」飛田和緒の冷蔵庫に必ず入っているもの