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クルマ好きは子どものころから

―まずは、これまでの経歴を教えてください。

「キャリアのスタートは、ベントレーです。幸運なことに、大学で得たマーケティングの学位を生かすことができ、ミシガンに渡りました。ちょうどコンチネンタル・コンバーチブルがローンチするタイミングで、21歳で異国の地に渡った私にとって、毎日がとてもエキサイティングでした。

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その後ロールス・ロイスに移り、セールスやコマーシャルの仕事を経験し、ビスポークにも携わりました。スーパーラグジュアリーでクラシカルなイギリスのクルマを愛していましたが、一方で若いブランドであるマクラーレンに移ることは、胸躍る選択でした。本国で2年間コマーシャルの仕事をし、シンガポールに移って6年になりますが、もはやアジア人だと自負するくらい、シンガポールが、そしてアジアが大好きなんです」

―シンガポールでの愛車は?


シャーロット・ディクソン氏(左)と飯田裕子氏。    マクラーレン・オートモーティブ

「関税があまりに高額で、自分のクルマを保有してはいないのです。免許を取得して初めて買ったクルマはミニ。もちろんMTです。父が自動車関係の仕事をしていたので、子どものころからステキなクルマに触れて育ちました。私の自動車へのパッションは父親譲りなんです。

これまでさまざまなクルマに乗ってきましたが、忘れられないのはマクラーレンに移って2日目、570Sを運転したことです。それまでロールスロイスにいて、ファントムに乗ったりしていたんですよ、あの、2トンの。その上、私はそれまでスーパーカーを運転したことが一度もなかったのです。このギャップに頭が真っ白になりました。

でも、決して乗りにくいクルマというわけではないのです。そもそもマクラーレンは、Eモードやレースモードなど、一台のクルマでさまざまな乗り味を楽しめます。これまでハイパフォーマンスカーにあまり乗って来なかった方にこそ、体感していただきたいですね」

すべてを楽しめるモデル

―新たな歴史の1ページを刻む、ニューモデルについて聞かせてください。

「最新のオールニューハイブリッドスーパーカーであるアルトゥーラ&アルトゥーラ・スパイダーは、マクラーレンのDNAをすべて受け継いだスーパーカーであり、ハイブリッド技術によって革新的なラグジュアリーを求める人々や、都会のライフスタイルに完璧にフィットするモデルです。

非常に多目的で楽しめるモデルなので、ドライブ旅行も素敵な旅になるでしょう。私も南仏で非現実的と言いたくなるようなスパイダーとのドライブ体験をしました。Eモードでの走行もオープンエアドライブとともに満喫できて、もう、すべてを楽しむことができたんです」


高速を走ると、一気にスーパースポーツの世界に引き込まれる。    マクラーレン・オートモーティブ

筆者自身、このインタビューの数日前に、アルトゥーラ・スパイダーを試乗する機会を得たのだが、3リッターV6ツインターボエンジン+Eモーターを組み合わせたハイブリッドという、マクラーレンにとって新たな動力を楽しむのなら、スパイダーが理想的だと思えた。

観光客も多い都市部や横浜みなとみらいエリアを、スーパーライトウエイトを体現するデザインを纏ったスパイダーで音も無く走る体験は、オープンエアの方がよりリアルだ。静粛さを保つためにピレリの最新のテクノロジーを初採用する点もマクラーレンらしい。

首都高速に入ると、専用開発が行われたエンジンサウンドが炸裂し、モーターアシストによるピュアエンジン車とは異なる加速レスポンスや、クイックなハンドリングによって、ドライバーは一気にスーパースポーツの世界に引き込まれる。このギャップがたまらない。

また、プロアクティブ・ダンピング・コントロールが、フラットで快適な乗り味と高いアジリティという、両極端とも言える性能を可能にしている。「すべてに意味がある」をモットーに、車両開発を行うマクラーレン。スパイダーこそ、ハイブリッドスーパースポーツの世界を堪能しやすい。

さらに、日常使いの点でみると、音の反響が気になる地下駐車場で、エアコンの効いた室内で気兼ねなくナビの目的地設定ができることも特筆しておこう。

ヘリテージの、その先へ

ディクソン氏は、イギリス本国のAUTOCARの2019年グレート・ウーマン・ライジング・スターズと、2024年オートカー・トップ100グレート・ウィメンにノミネートされている。

その件をうかがうと、「これはマクラーレンのチームでいただいた賞だと思っています」とはにかみながらも、


マクラーレン アジア太平洋地域ディレクターのシャーロット・ディクソン氏。    マクラーレン・オートモーティブ

「AUTOCARは世界で最古の自動車メディアであり、イギリスでとても愛されています。非常にオープンで透明性を持った報道をするその姿勢を、自動車業界全体が評価していますし、重要視しているトップメディアです。そのAUTOCARに選んで頂いたことを、大変光栄に感じています」

と話してくれた。さらにAUTOCAR JAPANについても、日本語はわからないけれども、と前置きしながら、「マクラーレンの記事のみならず、今、話題になっている情報を見知ることもでき、日本において影響力の大きさを感じますね」と感想を述べてくれた。

―最後に、日本のマーケットに期待することを教えてください。

「日本はまだまだ成長市場で大変重要なマーケットだと思っており、特に限定モデルやアルティメットシリーズ、そしてマクラーレン・スペシャル・オペレーションが提供するクチュールサービスに大きな関心が集まっているのを感じます。今後も日本におけるマクラーレン・オートモーティブと連携しながら、『マクラーレン・トラックデイ・ジャパン』を始め、様々取り組みを行っていきたいと思っています。

マクラーレンのDNAはハイパフォーマンスと最新テクノロジー、そしてそのもととなるのがヘリテージです。ドライバーで、同時にイノベーターでもあったブルース・マクラーレンを筆頭に様々な先人たちが様々な境界を超えてきたおかげで今があります。その一方で、そこにただ留まっているわけではないのが、マクラーレンの魅力と言えるでしょう。今後にご期待ください」

日本での運転経験はないと話すディクソン氏。一緒に運転しましょう、と誘うと、「ぜひ!」と弾けるような笑顔を見せてくれた。そのチャンスを楽しみに待ちたい。