「私は城南大学附属病院心療科の氷室レイカ!」

【画像】舞台でセクシー女医を演じた半井小絵

 胸元の開いたブラウスに膝上丈のタイトスカートとハイヒール。太腿も露わに脚を組んで机に向かう女医は、そのまま患者のほうに向き直り……。

 ステージ上で「氷の微笑」のシャロン・ストーンを彷彿とさせる“艶技”を見せるのは、今や女優となった半(なから)井(い)小絵(51)である。


半井小絵

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「7時28分の恋人」は舞台女優に!!

 2002年から9年間にわたってNHKで気象キャスターを務めた半井。コーナーが終わる時の小首をかしげる仕草がオジサンたちのハートを掴み、「7時28分の恋人」と呼ばれた。

 そんな彼女が舞台女優になっていたのだ。

「10年ほど前から役者活動を始め、演技のイロハを教わった野伏翔氏が主宰する劇団『夜想会』のメンバーとして、多くの舞台に出演しています」(舞台関係者)

「保守のヒロイン」として堂々と演じる

 17年からは、北朝鮮による拉致問題をテーマとした舞台「めぐみへの誓い―奪還―」で、田口八重子さんを演じる。横田滋さん役の原田大二郎が語る。

「以前から上演されている作品で、長く演じている俳優たちの中に、彼女は途中から入ってきたんです。最初はとても不安そうで、稽古でも『本当にこれでいいんでしょうか?』と何度もアドバイスを求められました。日本に残した子供のことを思って半狂乱になる場面もある難しい役。でも彼女は見事にやり抜いて堂々と演じていましたよ」

 重いテーマの作品に出演したのには理由がある。実は半井には「保守のヒロイン」という顔もあるのだ。

 自衛隊での講演や、自衛官を顕彰する「国民の自衛官」(フジサンケイグループ主催)の選考委員といった仕事のほか、プライベートでは皇居勤労奉仕に参加したり、北方領土に渡るなど、“保守的”と呼ばれる活動を精力的にこなしてきた。

 17年には櫻井よしこ氏や産経新聞記者らと、当時の安倍晋三首相との座談会に参加。保守派の大物である安倍氏にこう迫った。

「タラップを降りた田口さんが兄の飯塚繁雄さん(注・当時存命)と抱き合う姿が見たいのですが、拉致問題の進展はいかがでしょうか」(『正論』18年3月号)

「超マジメなお嬢さんだったんです。」

 半井が影響を受けたと公言するのが、15年から「虎ノ門ニュース8時入り!」(DHCテレビ)で彼女とともにコメンテーターを務めた中部大学元特任教授の工学者・武田邦彦氏だ。

 武田氏が明かす。

「彼女は名門大学、日本銀行を経て、NHKの気象キャスターとして人気を博した。NHKの言うことを全部信じて、日本が東南アジアを侵略して悪いことをしてきたと、歴史観も学校で習ったままの、言ってみれば超マジメなお嬢さんだったんです。ところが僕と番組で一緒になってから変わった。自分でも勉強を始めて、2年くらいで『事実はよく理解した』と言っていた。どうも余計に右側に行ったようなところもありましたがね(笑)」

役者として他の人の人生を生きられること

 9月7日、冒頭の舞台「女医レイカ2」終演後の半井を直撃した。

――なぜ、役者に?

「昔いた事務所に芝居のワークショップを勧められて。何もできない状態だったので、それから劇団に入って修業しました。役者の知り合いはたくさんいて興味はあったんですけれども、自分がするとは思っていなかった。セリフを入れたり、役の研究をするときには、楽しいというよりも辛いというのがあるんですけども、終わったときに毎回、やってよかったなって思うんですよね。お客様の拍手を頂いたときが最高なんですけど、役者として他の人の人生を生きられることが、自分の中で豊かになった感じになります」

――武田さんと会うまでは政治的なことに無知だったと話していましたが、NHKを離れてから、変わった?

「それぞれきた仕事をやって知っていくということなので。私が選んでいるわけじゃないので、自然とこうなりました」

 ハートを鷲掴みにされたオジサン記者が思わず「ご結婚は?」と尋ねると小首をかしげこう答えた。

「それは、ノーコメントで」

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年9月19日号)