パ・リーグ優勝を決めた小久保監督(右)と握手を交わす王球団会長

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◆パ・リーグ オリックス4―9ソフトバンク(23日・京セラドーム大阪)

 ソフトバンク・王貞治会長(84)は一塁ベンチ前で小久保監督と力強く握手した。「彼は勉強家ですし、いろいろ本も読んでいるし。指導者としての勉強をした。ファームで2年間(監督を)やったのも大きかった」と就任1年目のまな弟子の手腕を高く評価した。

 自身がダイエー監督就任1年目の1995年、4番打者として鍛えたのが入団2年目の小久保。球団が福岡移転後に入団した選手では初のホークス監督だ。

 ここ大阪では、師弟にとって忘れられない“事件”もあった。最下位で96年5月9日の近鉄戦(日生)に敗戦後、ファンが帰りのバスを取り囲み、生卵をぶつける暴挙に出た。それでも世界の王は「卵をぶつけられるような野球をやっているのは俺たちなんだ。あの連中に喜んでもらおうよ」と、毅然(きぜん)として呼びかけた。「暗いバスだった。僕は王監督をずっと見ていた。逃げないし、堂々としていた」と小久保監督は後にスポーツ報知のインタビューで明かし、逆境でも前を向く王イズムを継承してきた。

 あれから28年。京セラDに駆けつけた大阪のタカ・ファンも、歓喜に酔いしれていた。(島尾 浩一郎)