新居に「土間アトリエ」!?モデル矢野未希子が考えた「自分らしさあふれる家づくり」

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ファッションモデル・矢野未希子さん。「みっこ」の愛称で親しまれ、16歳のデビューから数々の雑誌の表紙を飾り、現在はYou TubeやSNSでも情報発信中。結婚11年目、37歳を迎えた彼女が、初めて「自分の家」を建てることに! 土地探し、設計から施工工事…数々の奮闘の記録をお届けします。建築家・芦沢啓治さんと出会い、とうとう設計図が完成! 連載8回目の今回は、新居の間取りの中でも、特にみっこらしさが表れている空間について語ります。

家を建てることは、快適なライフスタイルを考えることに直結している

「家を建てる」と決めてから、私のライフスタイルはずいぶん変化してきたと思います。手を動かしてものを作ること、自然に親しむこと、親しい人とゆったりと過ごすこと……どれも、30代後半になって出合った暮らしの楽しみ。歳を重ねてゆくにつれ自分のなかで熟してきた“心を充たす時間と空間”が、家づくりを通じてどんどん具体的になっていくようです。家を考えることは、暮らしや人生そのものを考えることにつながっているな、と実感します。

最近は土鍋の炊き込みご飯をガスで炊くことにハマっています。炊飯器より時間も手間もかかるけれど、とびきり美味しい! これを味わってしまうと、温め直すときに電子レンジを使うのがもったいなくて(笑)。それで、せいろを使って蒸し直すとまた美味しい! 今まで面倒だと思っていたことを丁寧にやってみたら、気分が良くて楽しいんだと気づいてしまいました。まるで、来年から始まる新居での暮らしをイメージして、快適に暮らすための“練習”をしているみたい。家に後押しされているような気もするし、心地いいライフスタイルへの関心が家づくりに反映されているからだとも思えます。きっと、相乗効果なのでしょう。

着々と建設が進んでいる新居には、そんな今の私らしさが滲み出る空間がたくさんあります。今回はそのなかのひとつ“囲炉裏のある土間アトリエ”にクローズアップ。このスペースを作ることになったきっかけと、この空間で思い描いていることについてお話ししますね。

陶芸という趣味に出合って、アトリエという“大人の遊び場”が欲しくなった

数年前から、私は趣味で陶芸をしています。友人から「素敵な作家さんがいるから、陶芸体験をしてみない?」と誘われたのがきっかけ。もともと土を触ることに興味があり、赴いたのが陶芸家・竹村良訓さんの千葉にあるアトリエでした。カラフルで色鮮やか、とても可愛らしい器をつくる作家さんで、ご本人も気さくでチャーミング。知識が豊富で興味の幅が広くて、話が盛り上がります。それに、土をこねて手びねりで形をつくり、自分で何かを作ることがこんなに面白いなんて! すっかり夢中になり、しばしば器作りのために千葉を訪れるようになりました。最初は仕事の息抜きとして通っていたのですが、千葉のアトリエまでは往復2時間。焼き上がりまでの工程をちょくちょく見に行きたくもなるし、創作意欲も湧いてくる。もっと近くでできたらいいなと思うようになるまで、そう時間はかかりませんでした。

陶芸は私にとって、大人になってから出会った“飽きが来ない遊び”です。ただの遊びだけれど、ライフスタイルに直結しているところが最大の魅力。「美味しいものをみんなで食べる器を、土という自然から、自分の手を使ってつくる」という行為が、この先の私の人生の楽しみ方として、すごくフィットしたんですよね。しかも、陶芸にハマった絶好のタイミングで家づくりが始まっていました! これから住むあの土地でなら、植物を植える鉢を焼いてみたいし、自分で作った皿でおもてなしもしてみたい……。夢をふくらませる私に、竹村さんからも「アトリエを作っちゃえば?」と後押しが。

そうして、新居には“ものづくりに没頭できるアトリエスペース”をつくることに。設計図制作の最中だった建築家の芦沢啓治さんにも早速相談! 私は「プライベートな趣味だけでなく、大人の遊び場のように色々な使い道ができる場所にしたい!」という要望もそこに付け加えました。

お客さんも、もてなす側も笑顔になれる、伝統的な“囲炉裏”のしつらえ

同時に、私がぜひ新居に欲しかったのが“囲炉裏”。古い日本家屋にある、灰を敷き詰めた上で火をおこし、料理や暖房に使える、あれ、です。友人と訪れた、山形の乳頭温泉の鄙びたお宿で、私は囲炉裏にすっかり魅了されました。山深いその土地で採れた野菜や魚を、目の前の直火で、自分で焼いていただくシンプルな朝ごはんの美味しかったこと! 旅先で感じたこのときめきを、新しい暮らしにぜひ取り入れたいと、こちらも芦沢さんに、山形旅行から帰ったその足でリクエストしに駆けつけました(笑)。

新居に囲炉裏があったなら、家にある野菜を串に刺して焼くだけでごちそうに。火を囲んで、お酒を飲んでおしゃべりするだけでも素敵な体験になります。何も準備していなくても、たまたま近くを訪れた友人を気軽に招くこともできる。そんな想いを伝えると、芦沢さんは「アトリエに置くことにしましょう」と提案してくれました。

生活する上で絶対必要“じゃない“スペース。その余白に、大切なことが詰まってる

汚れを気にせず土をこねられて、焼き窯も備えたアトリエは、ある程度の広さがある土間として考えられていました。家の内部と外をつなぐ中間的なエリアだからこそ、さまざまな使い方ができそうです。庭で遊んだ後、そのまま土のついた靴で入ってリラックスできるのも魅力的!

リビングとアトリエという切り分けられた空間があることで、私たち住まい手にとってはプライベートにも第2の応接間としても活用できるし、招かれた人も新鮮な雰囲気を楽しめるはず。完成が今から楽しみで、一番ワクワクする空間かもしれません。

玄関、リビング、キッチン、寝室などは、生活する上で必須、あるいは“あって当たり前”のスペースです。一方、アトリエは今までの自分の住む家にはなかったもの。間取りに絶対必要というわけではないスペース。囲炉裏も同じで、訪れる人と愉しみを分かち合うための遊びのためのもの。この余白のような感じが、私にとっての贅沢。これから家で過ごす時間を考えたときに、きっと欠かせない場所になってゆくのだと思います。

text:azumi kubota

矢野未希子「家づくり、始めます!」ファッションモデルが、住まいと暮らしに興味を持つまで