あいさつはコミュニケーションの基本と言われますが、各国で多少の差があることはご存じでしょうか。日本とそれほど大きな違いがないように思われても、やはりヨーロッパでも違うと感じるところも。今回はあいさつの文化について解説します。

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ドイツに住んでみて2年ほどたちますが、これまでの生活で大なり小なりの新しい発見と驚きがありました。その中でも今回は、ドイツ人にとって非常に重要なあいさつを旅行中に役に立ちそうなシチュエーションとともにお届けします。

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あいさつの基本3選

あいさつは誰とでもする、とても気軽なものです。日本だと「すみません」から入るような会話でも、こちらだとあいさつからが基本。

▼お店に入るとき 店員の顔が見えるような小さなお店に入るときはまずは必ず一声、「ハロー」や「グーテンターク」とあいさつをします。「お邪魔しますよ」「ちょっと見せてくださいね」という気軽な合図です。店員も快くあいさつを返してくれます。

最初にあいさつをすることで、後から何かを聞きたくなったときにもハードルが下がります。また店を出て行くときは、「チュース(さようなら)」と一声かけると完璧です。

▼人に話しかけるとき 次に、人に道を尋ねたい、スーパーで商品がどこにあるか教えてほしいというシチュエーションの時はどうするのでしょうか。本題から入るのではなく、まず「ハロー」や「エンショイデゴン(すみません)」というワンクッションを自然に挟む人が多い印象です。

▼注文するとき お店で注文するときもあいさつは必須です。食べ物や飲み物などを注文するときは、語尾に「〇〇ビッテ(ください)」という文言を忘れないようにしましょう。シンプルなドイツ語ですが十分に伝わります。

逆に1つの単語だけで注文するのは命令形に近いような、非常にぶしつけな感じになってしまいます。

ドイツでは店員も客も対等な立場なので、サービスを提供された客が「ありがとう」と言うと店員が「どういたしまして」と答えるのは普通なことです。最後に「良い一日を過ごしてね」「ありがとう、あなたもね」というやりとりがあり、ここまでがテンプレです。

この流れは本当によく起こるので一通り覚えておいて損はありません。

最も重要なのはアイコンタクト!

アメリカにも住み各国を旅してきた筆者ですが、ドイツにおいて突出しているもの、それはアイコンタクトです。

人と話すときやあいさつをするときには、かなりしっかり目を合わせます。これはアメリカの文化と比較してもかなり長めの感覚で、日本人からすると相当長く感じますが、ぐっと踏ん張りましょう。ついでにニコリとできるとさらに好感度アップです。

驚いたシチュエーション

筆者が「え! ここでもあいさつするの!?」と驚いたシチュエーションを2つご紹介します。

▼病院の待合室にてあとから待合室に入ってきた人が、先に待っていた人々に向かってあいさつをします。知り合いがいたわけでもなく、誰かと目が合ったわけでなくても、なんとなくその空間全体に向かって発している感じです。特に高齢の方々がこうしている光景は何度となく目にしました。

一声かけておくと、その後のちょっとした会話にも発展しやすく、空気が和みますよね。筆者も実際に「あなたの番号が呼ばれているわよ」と隣の方に教えてもらったことがあり、とても助かりました。

▼カフェにて店員とお客さんの間でのあいさつはもちろんですが、たとえばカフェで次のお客さんが入店してあいさつをするとき、コーヒーを待っていた最初のお客さんもあいさつを返すことがあります。

これには少しカルチャーギャップを感じましたが、その場に受け入れられている感じがして居心地が良くなります。ちょっとした会話のきっかけにもなり、それで1日を始められるなんてすてきです。

見知らぬ人同士の小さな会話がごく普通に行われているドイツ。基本のあいさつがそのハードルをぐっと低くしているに間違いありません。

この記事の筆者:Gena プロフィール
ドイツ在住3年目のライター、ボディポジティブモデル。個人ブログをきっかけに執筆活動を開始し、現在はヨーロッパのモデル事務所に所属しながら、「ヨガジャーナルオンライン」にてエッセイを連載中。学生時代にはアメリカ・ニューヨークにも留学経験あり。日本と欧米における視点の違いに関する情報を発信する。
(文:Gena)