アメリカ・ジョージア州で演説する米民主党大統領候補のハリス副大統領(20日)=ロイター

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 【ワシントン=池田慶太】米民主党のハリス副大統領は20日、ジョージア州で演説し、人工妊娠中絶の規制強化を進める共和党のトランプ前大統領らが、女性の体に「危機をもたらしている」と強く非難した。

 11月の大統領選での女性票獲得に向け、中絶問題の訴えを強めている。

 ハリス氏は演説で、妊娠6週目以降の中絶を禁じる同州で2022年に28歳で死亡した妊婦のアンバー・サーマンさんに言及した。米メディアによるとサーマンさんは、中絶薬を服用後に合併症を患い、ジョージア州の病院に運ばれたものの医師が処罰を恐れ、適切な治療をすぐに受けられなかった。

 ハリス氏は中絶が規制されていなければサーマンさんの死は回避できたと主張し、子供や女性を大切にすると言いながら中絶禁止を進める共和党を「偽善者」と批判した。

 トランプ氏は任期中に保守派の連邦最高裁判事3人を任命し、中絶を憲法上の権利と認めた判断を覆すきっかけを作った。それ以降、共和党の影響が強い州では中絶規制が強化されており、ハリス氏は一連の動きを「トランプ氏の中絶禁止令」と呼んで攻撃している。演説でも、トランプ氏が女性の自由を奪おうとしていると主張し、大統領に返り咲けば連邦レベルで中絶を禁止すると警告した。

 中絶問題は有権者の関心テーマの一つで、民主党は最大の攻め所と見ている。大統領候補がバイデン大統領から女性のハリス氏に代わり、女性有権者にアピールしやすくなったことも追い風となっている。