教員という職業がいかに過酷なものであるかは、時給換算をしても明らかでしょう。そして、労働時間が長いだけでなく、教育現場での仕事は非常に多岐にわたり、責任も重いです。その対価としての給与が十分であるかというと、疑問が残ります。

 教員の労働問題はニュースやSNSでも取り上げられるようになり、「先生は大変」というイメージも定着しつつあります。

 子どもをもつ保護者や学校の近くに住んでいる人であれば、毎日遅くまで電気がついている職員室や休日でも部活をしている子どもたちの様子など実際の学校現場を目の当たりにすることもあるでしょう。

 こうした労働環境が、教員のモチベーションや健康に与える影響は無視できません。今年度の教員採用試験の倍率を見ても、1倍台や2倍台が目立ちます。(参考:2025年度教員採用試験 志願者数・採用予定者数・倍率一覧)新潟県では、中高・国語の教員採用試験で、採用予定数55人に対して27人しか出願しなかったというニュースもありました。

 私が教員採用試験を受けたのは10年以上前ですが、当時はどの自治体も6倍以上は当たり前でしたし、中には20倍の自治体・校種もありました。10年ほどでここまで教員人気がなくなったのは、長時間労働や責任の重さが無関係であるとは、どうしても思えないのです。

 教員の給与を時給換算することで見えてくるのは、教育現場の厳しい労働環境と、それに対して十分でない給与の実態です。

 教員という職業は、子どもたちの未来を担う重要な仕事です。教員が安心して働ける環境を整えることが、社会全体の課題となっているのではないでしょうか。これを機に、教員の労働条件の改善について、より多くの人が関心をもち、議論が進むことを期待します。

<文・あや>

【あや】
勤続10年の元小学校教員で、現在は民間企業人事部に勤める。会社員・副業ブロガー・Webライターの三刀流で働きながら、教員の転職・副業・働き方改革について発信中。「がんばる先生を幸せにする」のがモットー。X(旧Twitter):@teach_happiness