明大・宗山塁

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◆東京六大学秋季リーグ戦第2週第1日▽明大10―0東大(21日・神宮)

 明大が東大に先勝した。両軍無得点の9回、今秋ドラフト1位候補の宗山塁主将(4年=広陵)が先制ソロ。キャプテンの一発を口火に、最終回は10安打10得点。東大は先発の元ロッテ・渡辺俊介氏を父に持つ渡辺向輝投手(3年=海城)が明大を8回無失点に抑える好投を見せたが、リリーフが打線につかまり、悔しい敗戦となった。

 ものすごいスピードで、打球はライトスタンドに突き刺さった。決めたのは、やはりキャプテン。表情を変えずダイヤモンドを1周した宗山は、2022年秋以来の一発に「打った瞬間の感触は全然違ったもの。久しぶりに出たなと言う感じ」と振り返った。

 この日はプロ併用日で延長戦はなく、引き分けでも9回で試合終了。8回まで東大の先発・渡辺をうちあぐね、散発4安打だった。9回、東大はエース・平田康二郎投手(4年=西)にスイッチ。先頭の飯森太慈右翼手(4年=佼成学園)は安打で出塁したが、盗塁死。引き分けが近づく中、打席にいた宗山は違った。「飯森が走るということは常に頭に入れている。もしアウトになっても、そこは関係なく自分からもう一回(チャンスを)作る」。高めのストレートを振り抜き、喉から手が出るほど欲しかった先制点をもたらした。視察した楽天・沖原佳典スカウトは「初戦の緊迫した場面で一発が出るのはすごい。さすが」と手放しで称賛した。

 大学ラストイヤーにキャプテンに就任。しかし、春はけがの影響で5試合の出場にとどまり、ベンチから声を出した。「リーグ戦でうまくいかないときにチームでどうしていくか、どうやっていい雰囲気を作っていくかというのはずっとベンチで試合を見させてもらって感じた」と外から見て得られたこともあった。久しぶりの神宮での出場に「もう一回、グラウンドに立てることの幸せを感じながらプレーした。やっぱり当たり前じゃないなというのは強く感じたので、一球一球に魂を込めてプレーしたい」と喜びをかみしめた。

 この1発で、リーグ戦通算99安打とした。あと1安打で節目となるが「結果的に100本打っていればいいかなというぐらい。求められるところでの1打に集中していきたい」。名実を兼ね備える主将がチームを優勝に導く。(臼井 恭香)