7回に代打で適時二塁打を放ち、ベンチへガッツポーズをみせる盛岡大付・安村彰太(カメラ・有吉 広紀)

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◆高校野球秋季岩手県大会▽1回戦 盛岡大付5―2花巻南(20日・きたぎん)

 開幕した岩手の1回戦で、盛岡大付が花巻南に5―2で勝利した。登録変更でベンチ入りした安村彰太内野手(2年)が、7回に代打で左越え適時二塁打。盛付の“とにかく明るい安村”の一振りがチームを勢いづけた。宮城1回戦では仙台育英が古川工に4―0で勝利。公式戦初先発の1年生左腕・井須大史が5回を3安打7奪三振の無失点、2番手の吉田瑞己(2年)が4回を1安打無失点と2投手の完封リレーで初戦を突破した。

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 ベンチで喜ぶ仲間たちへ、盛岡大付・安村が力強く右手を突き出した。3―1の7回1死一、二塁から代打出場すると、初球の内角直球を強振。左翼手の頭上を越える適時二塁打で貴重な追加点だ。「初球のストライクを強く振れるのは自分の持ち味。打てて良かったです」と笑顔で振り返った。

 期間限定の出場だ。登録メンバーに発熱者が出たため、代わりに背番号14でベンチ入り。発熱した選手が回復すれば再び外れる立場だが「よく声を出すし、とにかく明るい子」と評した関口清治監督は三塁コーチャーを任せながら、好機で送り出した。身長182センチ、体重117キロの巨体を生かした一打で結果を出した安村を、「あれ(打撃)しか取りえがないですから。最高の形でしたね」とたたえた。代走を送られた安村はすぐに三塁コーチャーに戻り、再び大きな声でみんなを鼓舞。「スタメンだけが輝けるわけじゃない。どんな所でもチームに貢献できる」と胸を張った。

 中学時に聞いた「プラス思考でいかないといい選手にはなれない」という言葉を胸に、普段から前向きな言動で周囲の雰囲気を明るくしてきた。練習のノックでは他の選手は守備位置を書かれる場所に指揮官から「ヤジ将軍」と記され、チームメートには厳しくも愛のある言葉をかけているという。2回戦(23日)は釜石と対戦。どんなときでもチームのムードを盛り上げる盛付の“とにかく明るい安村”が、これからも力強い声で仲間たちの背中を押す。(有吉 広紀)

 ◆安村は元球児 とにかく明るい安村(本名・安村昇剛)は旭川実(北北海道)3年時、1999年夏の甲子園に出場。背番号13の控え一塁手で主に伝令役だったが、チームは2勝を挙げて16強に進出した。敗退後は充実感からスパイクの袋に甲子園の土をいっぱい詰めたが「入れすぎた」。重すぎる袋は帰宅途中で友達の家に預け「取りに行かず、そのまま」だという。

 花北青雲が鮮やかな逆転劇で福岡を破り、18年以来の秋季県大会白星を挙げた。1点を追う8回2死二塁で、4番・佐藤迅右翼手(2年)が同点の右越え適時二塁打。次打者の相手失策の間に勝ち越しのホームを踏んだ。「(走者を)かえすというよりつなぐことを考えていた。次もライナー性の当たりを意識して打っていきたい」と専大北上との2回戦(23日)へ気合を見せた。