レバノンの武装組織ヒズボラの使う通信機器が相次いで爆発したことについて、アメリカのABCテレビは「イスラエルが少なくとも15年前から計画していた」と報じました。

レバノンでは17日と18日、ヒズボラが使うポケベルやトランシーバーなどの通信機器が相次いで爆発し、37人が死亡しています。

これについて、アメリカのABCテレビは19日、情報当局の話としてイスラエルが少なくとも15年前から計画したもので、ポケベルの製造にも関与したと報じました。

イスラエルの情報機関員や複数のダミー企業が関与していて、ポケベルにはおよそ30から60グラムほどの爆発物と、遠隔操作式の起爆スイッチが仕込まれていたと伝えています。

ポケベルの製造元と報じられた台湾企業「ゴールドアポロ」は、18日、製造には関わっていないとする声明を発表。製造は、ライセンス契約を結んだハンガリーの「BACコンサルティング」が行ったと説明しました。

ハンガリー首相府報道官は、「BACコンサルティング」は製造拠点のない「貿易仲介業者」で、ポケベルはハンガリーでは製造されていないとしていますが、ニューヨークタイムズはアメリカ政府関係者の話として、「BACコンサルティング」は「イスラエルのダミー企業の一部」だと報じています。

一般顧客の注文も受ける一方、ヒズボラからの注文分には爆発物を仕込んでいたとし、製造するイスラエル情報機関員の身元を隠すため、他に少なくとも2つのダミー会社が関与したと伝えています。

また、地元メディアはブルガリアの企業「ノルタ・グローバル」が関わったと報じました。ロイター通信は、ノルタ・グローバルの創業者はノルウェーに住んでいるとし、ブルガリアやノルウェーでも捜査が進んでいると報じています。

さらに、爆発した通信機器の中には日本の無線機メーカー「アイコム」の文字が残されたトランシーバーもあったということですが、「アイコム」側は製造過程で爆発物が仕込まれた可能性を否定しています。

爆発した通信機器については複数の国にまたがる企業の名前が報じられていますが、多くの市民を巻き添えにした一連の計画の全体像は明らかになっていません。