今回のU-20アジア杯予選のメンバーに選ばれた(左から)中島、佐藤、市原、西原。(C)SOCCER DIGEST

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 パリ五輪が閉幕して約1か月。2028年のロス五輪を目ざす05年生まれ以降の選手たちで構成されるチームが、U-20ワールドカップに向けて動き出す。

 9月12日、日本サッカー協会はU-20アジアカップ予選に挑む23人のメンバーを発表した。来年2月に開催が予定されているU-20アジア杯は、U-20W杯(上位4チームが来年5月に開催される本大会の出場権を獲得)の予選を兼ねており、世界大会から逆算した場合、今回のコンペディションは一次予選に相当する。

 言うまでもなく、アジア杯予選での目標は次の戦いに駒を進めること。総当たり方式で行なわれるなかで、10グループの各組1位と各組2位の上位5チームが本大会に進めるレギュレーションとなっており、グループIの日本は25日にトルクメニスタン、27日にミャンマー、29日にホスト国のキルギスと対戦する。

 船越優蔵監督のもとで昨年度から継続的に活動してきたチームは、多くの選手を参加させてきた。今年に入ってからも6月に行なわれたモーリスレベロトーナメントなどの国際大会で技を磨きつつ、国内でも多くの合宿を行ないながらメンバーを選定。今予選にはロス五輪でも主軸として期待される面々が数多く招集されている。

 大宮アルディージャで高校3年生だった昨夏からレギュラーを務めているCBの市原吏音は、187センチのサイズに加えて足もとの技術を兼ね備えた有望株。バルセロナの育成組織で育ち、今夏にセレッソ大阪入りを果たした左SB郄橋仁胡は、サッカーIQと走力に定評があり、昨年5月のU-20W杯に飛び級で参戦した経験値も含め、大きな期待が寄せられている。
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 中盤にもタレントが揃う。サンフレッチェ広島やジェフユナイテッド千葉で活躍した中島浩司を父に持つMF中島洋太朗(広島)はパスセンスと戦術理解度が高い。高校3年生ながら、すでにプロ契約を結んでおり、今季はJ1でここまで9試合に出場している。

 パリ五輪では開幕前までトレーニングパートナーとしてチームに帯同したMF佐藤龍之介(FC東京)も見逃せない。技術と献身性を併せ持つプレーメーカーで、直前のU-23フランス代表との親善試合にも出場した実績を持つ。中盤のポジションを全てこなせる汎用性も魅力で、「チームに残したかった」とU-23日本代表を率いた大岩剛監督も高く評価した逸材はチームの中核を担うべきプレーヤーだろう。中島と佐藤は、昨年6月のU-17アジア杯や、同年11月のU-17W杯に出場しており、アジアや世界の戦いを知っている点も大きなアドバンテージだ。

 サイドアタッカーで注目したいのは、MF西原源樹(清水エスパルス)。俊敏性を活かした仕掛けでチャンスを演出するドリブラーで、清水の秋葉忠宏監督もその才能を高く評価している。高校3年生となった今季は、開幕からトップチームに帯同。J2で16試合に出場して2ゴールをマークしており、U-19世代で実績はピカイチだ。

 その一方で、今回はインターナショナルマッチウィーク外の開催となっており、海外組が招集されていない。アンデルレヒトのセカンドチームでゴールを重ねているFW後藤啓介、オランダ1部のNECに電撃加入したFW塩貝健人、今夏にベルギー2部のベフェレンに移籍したFW道脇豊、昨冬にアルゼンチン1部のアルヘンティノスに活躍の場を移したFW貴田遼河といったFW陣や、スウェーデン1部で技を磨く左SB小杉啓太(ユールゴーデンIF)といった面々の招集が見送られている。

 彼らはU-20アジア杯やW杯の本大会ではメンバーに食い込んでくる可能性があるだけに、今回招集された23人のメンバーの地位は何も保証されていない。チームとしての結果はもちろん、個人のアピールも求められる。誰が生き残っていくのか。争いは始まったばかりだが、日本の未来を担う選手たちの戦いに注目したい。

文●松尾祐希(サッカーライター)