マランツ、HDMI/HEOSとプレミアムHi-Fiアンプ搭載で約24万円の2chアンプ「MODEL 60n」
MODEL 60n
マランツは、ネットワーク再生機能やHDMIを備えたプリメインアンプの新製品として、MODEL 40n(385,000円)、とSTEREO 70s(143,000円)の間に位置する「MODEL 60n」を9月下旬に発売する。価格は242,000円。カラーはシルバーゴールド、ブラック。
シルバーゴールド
ブラック
音楽配信だけでなく、HDMI ARC対応でテレビとの親和性も高く、さらにリビングに設置した場合でも雰囲気がマッチする新世代マランツデザインの筐体を採用した2chアンプ。プレミアムHi-Fiグレードのアンプを搭載しつつ、機能面は上位モデルのMODEL 40nとほぼ同じ。それでいて25万円を切る価格も実現している。
プリ部には、チャンネル間のクロストークとギャングエラーを極小化するため、高性能ボリュームコントロールICを採用。機械式ボリュームでは構造上避けられない左右チャンネル間のクロストークや音量差が生じないため、空間表現力を大きく向上させている。
独自のHDAMとHDAM-SA2を組み合わせることで、高性能なリニアコントロール・ボリューム回路を構成。HDAM回路には、MODEL 50に採用されているBJTカスコードと高精度ウィルソン型カレントミラーアクティブロードを追加することで、動作電流の高精度化、低歪み化を実現。
一般的に使用される音量の範囲内ではプリでの増幅を行なわず、パワーアンプのみで増幅する可変ゲイン型にすることで、ノイズレベルの大幅な改善も実現。ゼロクロス検出によるゲイン切り替えにより、ボリューム操作時にクリックノイズが発生することもない。
パワーアンプ部は、MODEL 50と同様の回路に進化させる事で、歪み率を大幅に低減した。具体的には、HDAM-SA3を使ったフルディスクリート構成の電流帰還型の増幅回路を採用。ハイスピードでSN比が高く、低歪率という特長を備える非常に優れた増幅回路になっている。
MODEL 50と同様に、フィードバックタイプのカレントソースと、ウィルソン型カレントミラー回路を採用することで、歪率を大幅に改善。プリアンプの低歪化と合わせて、1kHzでの歪率が67%減少したという。
トランジスタから発生する熱を放熱するために、肉厚なアルミ押し出し材のヒートシンクを搭載。電源回路が発するノイズがオーディオ回路に到達することを防ぐシールドとしても活用している。
瞬時電流供給能力を向上させるために、パワーアンプ用電源回路と出力段を一体化したショート・パワーライン・レイアウトを採用。大電流ラインを最短距離で結び、左右チャンネルを対称に配置することにより、瞬発力と優れた空間表現力を両立した。
電源回路には、瞬間的な大電流の要求にも耐えられるようにシールドケース付きの大容量トロイダルトランスを搭載。音質に悪影響を及ぼす漏洩磁束を抑えるために、垂直方向の磁束漏れを抑えるアルミ製ショートリングに水平方向の磁束漏れを抑える珪素鋼板シールドを加えた2重シールドを施している。トランスを乗せるトランスベースも強化した。
平滑回路には、MODEL 60n専用に開発されたカスタムブロックコンデンサー(15,000μF / 63V)を採用し、大容量と高速な電源供給能力を両立させている。
MMカートリッジに対応するフォノイコライザーも搭載。J-FET入力を採用することで、SN比の向上と低歪化を実現。同時に、入力カップリングコンデンサーを無くすことで、信号の純度を高めている。
HDMI ARCは1系統装備。192kHz/24bit までのリニアPCM(2ch)の入力が可能で、テレビ放送や動画配信サービス、Blu-rayなどの音声を2chで再生できる。
HDMIケーブルを通して伝送されるオーディオ信号を、HDMIインターフェースデバイスを通さず、直接デジタルオーディオセレクター(DIR)に入力。デジタルオーディオ回路の電源の強化や低ノイズ化、グラウンドの強化なども徹底する事で、他のデジタル入力同様の高音質も実現したという。HDMIコントロール機能(CEC)にも対応。HDMI接続したテレビと電源ON/OFFを連動させたり、テレビのリモコンでMODEL 60nの音量調整が可能。
HEOSのネットワーク再生機能も搭載。音楽配信サービスのAmazon Music HD、AWA、Spotify、SoundCloudなどに対応するほか、NASに保存した音楽ファイルや、USBメモリーに保存した音源も再生できる。
ハイレゾファイルの再生は、DSDが11.2 MHzまで、PCM系は192kHz/24bitまで対応する。Bluetooth接続にも対応し、Bluetooth送信機能も備えている。
プリや D/A変換回路、フォノイコライザー回路には、上位モデルでも採用されているカスタム・フィルムコンデンサーや高音質フィルムコンデンサー、マイカコンデンサー、精密メルフ抵抗など、リスニングテストによって厳選された高音質パーツを投入。
スピーカー出力にはマランツオリジナルのスピーカーターミナル(SPKT-1+)を装備。コア部は真鍮の無垢材から削り出された堅牢なもので、表面処理はリスニングテストの結果、従来のニッケル下地+金メッキの2層ではなく、厚みのある1層のニッケルメッキを採用している。
ネットワーク・モジュールやデジタルオーディオ回路、電源回路などから発生するノイズによる音声信号への干渉を最小限に抑えると同時に、外来のノイズによる影響を防止するためにノイズ対策も実施。ネットワーク・モジュールを含むデジタルオーディオ基板、D/A変換回路をシールドケースに収め、相互干渉および外来ノイズの影響を排除。電源回路とオーディオ回路の物理的な距離を大きく取り、その間にシールドとして機能するヒートシンクを配置するレイアウトにより、電源回路から発生するノイズおよび漏洩磁束によるオーディオ信号への影響を遮断している。
筐体はボトムプレートを追加し、剛性を強化。インシュレーターも新しいものになっている。定格出力は80W + 80W(4Ω)。音声入力端子はアンバランス×3、Phono(MM)×1、HDMI(ARC)×1、同軸デジタル×1、光デジタル×1、USB-A×1を装備。音声出力端子は2.1chプリアウト×1、ヘッドフォン×1を装備。他にも、LAN端子×1、Bluetooth/Wi-Fi アンテナ入力×2、マランツモートバス(RC-5)入出力×1を備える。
消費電力は220W。最大外形寸法は442×431×191mm(幅×奥行き×高さ/ロッドアンテナを立てた場合)。重量は13kg。
ファーストインプレッション
発表会で短時間ではあるが、前モデルのPM7000Nとの比較試聴を行なったので、その印象をお届けする。
PM7000N
MODEL 60n
ソースとして、SACDプレーヤーの「SA-10」を用意。各アンプのアナログ入力を使い、アンプとしての音の違いを比較した。
クラシックのオーケストラや「2CELLOS/Mombasa」などで聴き比べたが、MODEL 60nのプリやパワー部の進化による低歪化の効果が顕著だ。静かな空間から音がズバッと立ち上がる様子や、スッと消えていく様子、SN比やトランジェントの良さで、MODEL 60nが大きく進化したのがわかる。
低域の沈み込みの深さ、音像の輪郭の明瞭さもMODEL 60nの方が優れている。音の安定感、ドッシリ感もMODEL 60nの方が上であるため、アンプとしてのパワーに大きな違いはないはずなのだが、MODEL 60nの方がよりハイパワーでハイクラスなアンプのように感じる。
このサウンドに、最新のHEOSネットワーク再生機能や、音質チューニングが施されたHDMI ARCも搭載して25万円を切る価格を実現しており、コストパフォーマンスの高さもMODEL 60nの大きな魅力と言えそうだ。