「EOS C80」

キヤノンは、RFマウントを採用したシネマカメラ「CINEMA EOS SYSTEM」より、フルサイズセンサーを搭載した「EOS C80」を、11月上旬に発売する。価格はオープンプライスで、直販予想価格は89万6,500円前後。ソロオペレートでも使いやすいスチルカメラと同じボディ形状を採用したのが特徴。

Super 35mmセンサーを採用した既発売の「EOS C70」の兄弟機と位置づける。動画性能などは6月に発表したボックス形状のシネマカメラ「EOS C400」と同等を実現している。

フルサイズセンサーを搭載

6K/30pの内部RAW記録に対応したフルサイズ裏面照射積層型CMOSセンサーを搭載する。総画素数は約2,670万画素で、有効画素数は約1,900万画素。Super 35mmにも対応するほか、DIGIC DV 7との連携により、6Kオーバーサンプリングによる4K 4:2:2 10bit記録もできる。

「EOS C70」(左)と並べたところ

撮影シーンに応じて、低感度から高感度までBase ISOをマニュアルで切り替え可能。既発売のC70のBase ISOは800/3,200の2段階だったが、C80では12,800が追加され3段階から選択できる。設定したISO感度に応じて、ダイナミックレンジを確保しつつ、SN比が高いBase ISOに自動で切り替える「自動切り替え」も利用可能。

3D LUTでは、撮って出しでもフィルムライクな仕上がりになるという「Canon709」を搭載。黒を締めて中間輝度域のコントラストを上げることでクリアな印象があるという。スキントーンを重視したルックとなっており、微妙な肌色の変化を素直に再現。全体的な色表現はキヤノンの色味を踏襲しており、あらゆるシーンで活用できるとのこと。

そのほか、C400などと組み合わせて運用する場合に便利というルック「CMT709」も利用可能。

本体にはハンドストラップが付属

ハンドルユニットも同梱される

筐体はミラーレスカメラのようなグリップ一体型。小型のため、ハンドヘルド撮影やジンバル撮影など、機動力を活かした撮影ができる。本体にはハンドストラップが装着されているほか、ハンドルユニットも同梱される。

薄型ユニットながら、従来のCINEMA EOSカメラと同等の5段階(拡張時)の明るさ調整ができる機械式の薄型NDフィルターユニットを内蔵。従来同様、ボディ右側面にNDボタンを配置することで、操作性も踏襲している。

上位機種同等の独立気室ダクト構造を採用した排熱機構を搭載し、ノンストップ記録ができる。この排熱機構はボディ内部の基板には直接風が当たらない設計のため、吸い込んだチリなどがカメラ自体にダメージを加えることはないとのこと。

同梱バッテリーは新モデルの「BP-A30N」で、同バッテリー使用時で最大約120分、別売りの大型バッテリー「BP-A60N」使用時で最大255分の長時間撮影ができる。既発売のC70用の「BP-A30」や「BP-A60」とも互換性があり、こちらを使った場合の機能制限もない。

オートフォーカス(AF)には、デュアルピクセルCMOS AF IIを採用。スチルで培った素早く正確に合うAFをベースに、フォーカスマンのマニュアルフォーカス(MF)を再現して加速度を調整し、「合焦直前にゆるやかに減速するプロのフォーカスワークをオートで再現した」とする。

測距エリアは従来の約80×80%から最大約100×100%の画面全域測距に対応し、画面の隅に被写体を配置する構図でも、高精度かつスピーディーにAFを実行できる。

ディープラーニングを活用したアルゴリズム「EOS iTR AF X」により、被写体検出アルゴリズムを強化。検出被写体対象では、人物の胴体と、動物(犬/猫)に対応した。

SDカードのデュアルスロット仕様

記録メディアはSDカードでデュアルスロット。約3倍高速なUHS-IIカードに対応し、SDカードでもRAW記録ができる。CFexpressカードではなく、SDカードを選択した理由については「現在も現場で広く使われていること、いざというときも入手しやすいこと」を考慮したという。記録フォーマットはCinema RAW Light、XF-AVCに加え、XF-HEVC S、XF-AVC Sに対応。

「EOS C70」(左)と並べたところ。「EOS C80」(右)は新たにSDI OUTを搭載している

スマホアプリなどからの操作にも対応した

インターフェース類では、業務用途で広く使われているSDI OUT端子を新搭載したほか、マルチアクセサリーシュー、イーサネット端子も搭載。Wi-Fiも内蔵式となり、スマホアプリ「Canon Multi-Camera Control」などからの操作も可能になった。そのほか、HDMI(Type-A)端子や3pin ミニXLR入力×2、ヘッドフォン端子などを備える。

ユーザーインターフェースは縦表示にも対応

ユーザーインターフェースでは、縦撮りに合わせたUI表示が可能になるなど、縦撮り時のUI操作性を強化。撮影時のUIだけでなく、メニュー設定やLCD輝度調整も縦撮りに対応した見やすいレイアウトを採用した。

メニューから縦表示の方向を選択できる

なお、UI表示はカメラの向きに合わせて自動調整はされず、メニューから縦/横表示を選択する必要があるが、メニュー設定ボタンが撮影画面上に追加されているため、このメニュー設定ボタンから表示切り替え設定に素早くアクセスできる。

グリップ部にも三脚穴を備える

グリップ部分にも三脚穴を備え、縦撮りでの三脚固定が可能。インターフェース類はグリップとは反対側にまとめられているので、縦設置時も三脚にインターフェースが干渉しない設計となっている。

外形寸法は約160×116×137.4cm(幅×奥行き×高さ)、重さは約1,300g。

発売を前に製品に触れられるタッチ&トライイベントも、キヤノンフォトハウス銀座/大阪で開催される。完全予約制で日時は銀座が9月13日~14日の11時~17時30分(各20分)、大阪が9月20日~21日の10時30分~17時(各20分)。予約は9月11日10時よりWebサイトで受け付ける。

「EOS C70」(左)と並べたところ。「EOS C80」(右)はマルチインターフェースシューも装備