プロジェクタも240Hz対応&遅延1ミリ秒未満に。TIから新世代DLPコントローラ
ジョイスティック部分の上に乗っているのが、新しいDLPディスプレイコントローラ「DLPC8445」
テキサス・インスツルメンツ(TI)は4日、クラス最小・最速・低消費電力を謳う、DLPディスプレイコントローラ「DLPC8445」を発表した。240Hzの高リフレッシュレートとVRRをサポートしており、互換性のあるDMDやドライバーを組み合わせることで、ゲーミングディスプレイ同等の表示性能を持つモバイルプロジェクタが設計できる。同チップセットを搭載したコンシューマー製品の市場投入は「6カ月から1年後」を見込む。
ディスプレイコントローラーのDLPC8445は、DLPプロジェクタの基板を構成する主要チップの1つ。0.47インチ・DMDデバイスの前段で、様々な信号処理を担う。
チップセットの概要
新しいDLPチップセットを搭載したプロジェクタのイメージ
新しいコントローラの発表に合わせ、説明会が行なわれた。
最大の特徴が、パッケージサイズの小型化。「消しゴムの幅サイズ」というわずか9×9ミリサイズとなっており、31×31ミリサイズだった前世代のコントローラーと比べて、90%ものダウンサイズを実現した。これにより、基板を含むシステム全体の小型化に寄与。また消費電力も抑えることで、バッテリ駆動のレーザー光源プロジェクタに対しても最適化を図った。
前世代とのサイズ比較
TIでDLP製品ビジネスラインマネージャを務めるカルロス・デヴィッド・ロペス氏によれば、「TIのDLPコントローラの更新は実に5年以上ぶり。製造プロセスも大幅に変わったことで、クラス最小はもちろん、性能においても飛躍的な向上を果たした」と話す。
スピード性能は前世代比で50%向上。処理性能が底上げされたことで、「プロジェクタの世界では前例のないほどのスピード」という、1ms未満のディスプレイ遅延時間を可能にした。
高リフレッシュレート対応も新世代コントローラの進化点。フルHD解像度時で最大240Hz、4K解像度時でも最大120Hzをサポートした。さらに、DLPチップセットとして初めて可変リフレッシュレート(VRR)もサポート。PCやゲーム機とフレームレートを同期させることで、ティアリング(画像のずれ)やスタッタリング(カクツキ)を解消する。
カルロス氏は「近年は、プロジェクタを使った大画面でのゲームプレイが人気を集めている。今回のチップセットを組み込めば、セットメーカーは、ハイエンドなゲーミングディスプレイと同等、もしくはそれを超えたゲーム表示性能を実現するDLPプロジェクタやレーザーTVを設計できるようになる」とコメント。
さらに、すでに開発キットが複数のプロジェクタメーカーに渡っており、「今回のチップセットを搭載したコンシューマー製品は、あくまで目安にはなるが、おおよそ6カ月から1年後に市場に投入される見込み」という。
今後のDLPテクノロジーについては、「DLPテクノロジーは様々な分野で活躍しているが、ディスプレイという分野に限って言えば、高い解像度、より小さなチップサイズ、更なる低消費電力性能とフレームレートの高速化、そしてARグラス対応などの様々なフィーチャーを追求してゆくことになるだろう」と展望を語った。