大阪・関西万博「大屋根リング」つながる 1周2キロ、想定より早く全貌が…愛称募集提案も
大阪・関西万博(2025年4月13日〜10月13日、184日間)の会場となる人工島・夢洲(ゆめしま・大阪市此花区)のシンボル「大屋根リング」の木造構造部(木組み)が21日につながり、報道関係者に公開された。
大屋根リングの設計は、環境への配慮や鉄骨使用時のコストとの比較などを鑑みて、国内外のスギやヒノキを用いている。
カーブが傾斜する「バンク」形状となっており、高さは内側12メートル・外側20メートル、直径が約650メートル、デッキの幅は約30メートル、1周すると約2キロメートルの規模となる。
一般の建物なら3〜5階建てで、木造建築物としては世界最大級という。
設計は、大阪・関西万博会場デザインプロデューサーを務める建築家・藤本壮介氏。
藤本氏はコンセプトについて、「『多様でありながら、ひとつ』という大阪・関西万博の理念を表現した」と語る。
リングは各施設に向かうための通路となり、屋上には「リングスカイウォーク」と名付けられた展望できる歩道が設けられる。
木で柱と梁を組み合わせる日本古来の『貫(ぬき)』という構造を現代によみがえらせた。
『貫(ぬき)』は京都の世界遺産、清水寺・本堂(国宝)「清水の舞台」の懸造り(かけづくり)をイメージするとわかりやすく、垂直と水平を基本とする。懸造りは格子状に組まれた木材が互いに支え合い、衝撃を分散し高度な耐久性を保つことができる。
主催・運営する日本国際博覧会協会によると、当初、リングがつながるのは9月下旬の予定としていたが、順調に工程を消化し、約1か月早まったという。
今後、地上からリングへのアクセス整備として、エレベーター、エスカレーター、階段を設置(避難経路含む)する。
さらに照明の取り付けや屋根部分の植樹などを経て、2025年2月に全体が完成する見込み。
■吉村大阪府知事 愛称公募を提案
吉村洋文・大阪府知事は同日、「リングの愛称を公募すべき」と博覧会協会に提案したことを明らかにした。
吉村知事は、1970年の大阪万博のシンボルとなった太陽の塔を引き合いに、「木造リングとか大屋根リングとか、人によって異なる名前を使うのではなく、愛称を皆で決めたらいい」と述べた。