Amazonの倉庫は労働環境が劣悪で、Amazonの倉庫労働者は負傷率が競合他社よりも高いことがたびたび報告されています。新たに、2019年から2023年までの5年間でイギリスのAmazon倉庫では1400回以上救急車が呼ばれていることが指摘されています。

Ambulances called to Amazon’s UK warehouses 1,400 times in five years | Amazon | The Guardian

https://www.theguardian.com/technology/article/2024/aug/17/ambulances-called-to-amazons-uk-warehouses-1400-times-in-five-years



Amazonはイギリス国内のダンファームリンやブリストル、マンスフィールド、ボルトン、チェスターフィールド、ルグレー、ロンドンなどに倉庫を抱えています。

2019年から2024年までの期間中、最も多く救急車の出動を要請したのはダンファームリンとブリストルのAmazon倉庫で、それぞれ161件と125件の出動要請がありました。また、ダンファームリンのAmazon倉庫からの出動要請のうち、約3分の1は「胸の痛み」に関連するもので、そのほかにもけいれんや脳卒中、呼吸困難に対する出動が要請されたとのこと。

また、マンスフィールドのAmazon倉庫には期間中84回もの出動要請があり、そのうちの70%以上は心臓発作や脳卒中などの生命を脅かす状態に関連することが多い「カテゴリー1」や「カテゴリー2」と呼ばれる病状でした。さらに、シフト中の労働者の流産に関連する事故や酸・有毒ガスを吸い込んだ事故、重大な感電事故、重度のやけどに対する救急車の出動要請があったことも報告されています。



イギリス最大の労働組合の一つ「全国都市一般労働組合(GMB)」のオーガナイザーであるアマンダ・ギアリング氏は「1400回以上という救急車の出動要請数は衝撃的ですが、驚くようなものではありません。Amazonの労働者は、日常的に人間の忍耐力の限界を超えて働かされています」と指摘。さらに「実際のAmazon倉庫での負傷や病気の数はさらに多くなる可能性があります。Amazonの倉庫では、救急車の出動要請を思いとどまらせたり、救急車の代わりにタクシーで病院まで向かうように言われることが常態化しています」と述べています。

対照的に競合他社の倉庫での救急車の出動要請数は非常に少なく、海外メディア・Viceの調査では、boohooやMissguided、Pretty Little Thingなどの倉庫での救急車の出動要請は年間10件以下にとどまっていたことが報告されています。

また、ルグレーにあるTescoの倉庫では、2015年から2017年までの3年間でわずか8回しか救急車が呼ばれていないことが記録されている一方、同地区のAmazon倉庫では期間中に115件の出動要請がありました。なお、どちらの倉庫の従業員も1300人を超えています。

非営利団体「Foxglove」のディレクターであるマーサ・ダーク氏は「Amazonで働くことがいかに危険であるかを、私たちは目の当たりにしています。これほど多くの労働者が、仕事をしただけで救急搬送されることは許されないことであり、Amazonが適切な健康と安全対策を怠っていることを浮き彫りにしています」と批判。一方でAmazonの広報担当者は「Amazonで働くことが『危険』であるという指摘に強く反論します。責任ある雇用主として、緊急医療処置が必要な人がいれば確実に救急車を呼んでいます」と述べています。さらに「真実を理解したいと思っている全ての人は、Amazonフルフィルメントセンターの見学ツアーに参加して、自分の目で労働環境を確かめることをお勧めします」と語りました。