「新東名はやく完成して」“地獄渋滞”の東名「秦野中井IC」はいつ救われる?「延期また延期」新東名の「全通」がなかなか実現しないワケ

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東名の「パンク状態」救う? 新東名の「神奈川〜静岡」区間

 首都圏と中京圏をつなぐ「新東名高速道路」は、全通までいよいよ1区間を残すのみとなっています。
 
 工事はどこまで進んでいるのでしょうか。また全通はいつになるのでしょうか。

新東名はいつ全線開通? (画像:写真AC)

 新東名は、神奈川県の「海老名南JCT」から愛知県の「豊田東JCT」へ至る、全長254.2kmの高速道路です。

【画像】えっ…!これが「新東名」最後の区間のルートと工事状況です(12枚)

 海老名南JCTでは圏央道と接続し、豊田東JCTでは伊勢湾岸道と東海環状道にそれぞれ直結。並行する「東名高速道路」の交通を分散し、主要な東西軸ネットワークを形成しています。

 しかし、この新東名は、神奈川県の新秦野ICから、静岡県の新御殿場ICまでの25kmが未開通で、この県境区間を抜けるためには、結局まだ東名を使わざるを得ない状況です。

 今年のGWやお盆休みでも相変わらず「大渋滞ポイント」となった、東名の「秦野中井IC」周辺。

 新東名の全通によって、この区間も新東名が一部の交通流を「取って代わる」こととなり、大幅な渋滞緩和が見込まれます。

 たとえば関西では、中国道にあった有名な渋滞ポイント「宝塚トンネル」が、2018年の新名神の高槻JCT〜神戸JCTの開通により、大幅に渋滞緩和。これをうけ、新東名にも同様の効果を期待する声が上がっています。

 新東名の本当のポテンシャルを発揮するには必須となる、最後の未開通区間の新秦野〜新御殿場。全通に向けてどこまで進んでいるのでしょうか。

「新東名全通」に立ちはだかる「難関」とは?

 NEXCO中日本の広報担当は4月の取材に対し「現時点で、2027年度の開通をめざして工事を進めているところです」と話しています。

新東名の秦野丹沢SA付近(画像:NEXCO中日本)

 実はこの開通予定、数回にわたって延期が発表されてきました。もともとは「2020年開通予定」でしたが、2019年に「2023年度」に延期。その後、2021年に一旦「白紙」となり、2022年末にあらためて「2027年度開通予定」と発表されました。そこからはまだ予定は変わっていないということです。

 2度の延期となった新東名の全通予定。では、「3度目の正直」はあるのでしょうか。

 予定通りの完成に向けて「カギ」となる工事現場は、神奈川県松田市と山北町にまたがる「高松トンネル」(上り延長2851m、下り2864m)にあると、同担当者は話します。

「高松トンネルでは、脆弱な地山の出現や断層破砕帯におけるトンネル掘削面の崩落などにより工事が難航しているところです」とのこと。

 その対策として「追加調査で把握した地質や断層破砕帯に対し、トンネルや地質の専門家の助言を踏まえた対策工を実施することで、確実に掘削を進めています」と話します。

 とはいえ工事は着実に進んでいて、昨年末の時点ですでに半分が掘削完了。さらに、反対側である西側からも、掘削を始めているといいます。

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 難所となっている高松トンネルですが、それ以外の工区を見ると、構造物の建造が各所で大詰めを迎えています。

 もっとも目を引くのが、山北スマートICの東側で建設中の「河内川橋(仮称)」です。長さ771m、高さ120mのバランスドアーチ橋で、すぐ脇を並行する東名の車窓からも、その工事の風景が間近に見えます。

 2本の橋脚からアーチ部材が「やじろべえ」のようにニョキニョキと両側へ伸びていく様子はSNS上でも話題を呼び、「土木ってすごい」「これ実際に見たけど圧倒された」などの声も見られます。