ビジュアルも実用性も妥協しない、夏におすすめの小物をピックアップした(写真:左からフォックスアンブレラズ、スウォッチ、〈上〉アイヴァン、〈下〉ホカ提供)

うだるような暑さが続き、通勤するだけで汗だくになる今日この頃。持っているだけで、身につけているだけで気分が上がる「夏小物」があれば、まだこの夏も乗り越えられるのではないか。そんな考えのもと、ビジュアルのよさはもちろん、実用性も備え、所有欲をくすぐるような小物を4アイテム厳選した。

メンズの日傘は「英国紳士」気分で硬派に

昨今の温暖化の影響からか、日本でも異常なまでに暑い夏が続いている。


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冷感のウェアから手持ちのミニ扇風機まで、毎夏さまざまな対策グッズが話題に事欠かない。そんな中、「古き良き」対策として再評価されているのが、照りつける陽の光を広範囲で遮ることができる日傘だ。

古くは貴婦人たちの嗜みでもあった日傘だが、今日ではメンズ仕様も少なくなく、とくに常時携帯に適した晴雨兼用&折りたたみモデルが主流となっているよう。

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「日傘はちょっと……」とためらう男性には、“硬派”なブランドの傘を推したい。それは、1868年にロンドンの金融街で創業された老舗「フォックスアンブレラズ」。英国王室はもちろん、世界中で多くのセレブリティに愛されているのだとか。

折りたたみモデル『テレスコピック』は、晴雨兼用仕様。創業当時から引き継がれている丁寧な手工業をメインに、1本ずつ熟練の職人によって組み立てられている。ハンドルにはマレーシア・マラッカ海峡周辺の名産でもある希少な籐(ラタン)の茎を使用し、使い込むほどに飴色へと変化する天然素材ならではのぬくもりを味わえる。


フォックスアンブレラズ マラッカ テレスコピック \44,000(晴雨兼用)/グリニッジ ショールーム 03-5774-1662(写真:フォックスアンブレラズ提供)

UVカット率は90%以上。メンズ日傘にまだ抵抗のある方も手に取りやすい、上質かつさりげない晴雨兼用モデルの1つだ。

宇宙に思いをはせる、遊び心あふれる時計

2022年、突然の共演アナウンスによって世界中を沸かせた「オメガ」と「スウォッチ」の初コラボモデル『ムーンスウォッチ』。

世界で初めて月面に達した腕時計『スピードマスター ムーンウォッチ』(アポロ11号の宇宙飛行士が月面着陸した際に着用していたモデル)へのオマージュを随所にちりばめ、発売日当日には各国の旗艦店に長蛇の列ができたことでも話題を集めた。

そんな同モデルが、2024年も“非限定”モデルとして継続展開し、さらに新たな仲間も加わった。


オメガ×スウォッチ ミッション トゥ ザ ムーンフェイズ - ニュームーン \46,200/スウォッチ カスタマーサービス 0570-004-007(写真:スウォッチ提供)

ニューモデルとなる『ミッション トゥ ザ ムーンフェイズ - ニュームーン』では、左右非対称のケースや特徴的な凸型サブダイヤルなど、象徴的なディテールを緻密になぞらえながら、NASAより贈られた「シルバー・スヌーピー賞(有人宇宙飛行ミッションの成功に大きく貢献した人に与えられる賞)」のアイコンでもあるスヌーピーと相棒のウッドストックがサブダイヤルのディスクに描かれている。


サブダイヤルの中で動くムーンフェイズのディスクには、月の上に横たわるスヌーピーが描かれている(写真:スウォッチ提供)

1960年代よりNASAのマスコットキャラクターともなったスヌーピーは、アポロ計画において月面着陸船の愛称となり、宇宙飛行士の間では幸運のお守りともされている。

そんなアポロ計画をはじめ、宇宙開発の歴史において重要な役割を果たした往年の名機を「スウォッチ」らしい遊び心と手に取りやすい価格帯で具現化したトリプルネームとなっている。

柔らかで知的な印象を与えるアイウェア

真円に限りなく近いラウンドシェイプは柔和な印象、角張ったスクエアシェイプにはどことなく“お堅い”印象を与えるように、サングラスをはじめ、アイウェアは顔、あるいは持ち主そのもののイメージを決定づける意外と重要な小物でもある。

とくに近年は欧米ヴィンテージへの関心が高まり、国内外のブランドからも往年のアーカイブに着想を得たオリジナルモデルが数多くリリースされ、その選択幅はさらに広がりつつある。

“パント”と呼ばれるシェイプもそのひとつだ。左右に伸びる直線的なラインと、丸みを帯びた逆三角形を合わせたような独自形状が最たる魅力のパントは、1950年代に欧州で流行し、当時のインテリ層を中心に幅広く愛用された。



アイヴァン ルミナス(50)各\47,300/アイヴァン 東京ギャラリー 03-3409-1972(写真:アイヴァン提供)

1972年に設立された実力派国産ブランド「アイヴァン」の『ルミナス(50)』も、20世紀を代表する建築家ル・コルビュジエが1950年代に愛用していたフレンチパントをベースにデザインされている。

フロントに6ミリ厚の生地を使用し、手磨きによって表現された美しい曲線と立体的なフォルムに、アメリカンヴィンテージのニュアンスを加えることでより現代的に仕上げた。柔らかさと知的な印象を併せ持つ1本だ。

海外で爆発的な人気の「リカバリーサンダル」

2010年代から急速にシェアを広げているリカバリーサンダル。本来はその名の通り、運動後のリカバリーを目的に開発されたものの、その突出した軽さと快適性から近年はキャンプなどの外遊びや日常使いでも大きく需要を伸ばしている。

2009年にフランスでスタートした「ホカ」は、そんなリカバリーサンダルの先駆けとしても知られるフットウェアブランドの1つ。そのハイエンドモデルでもある『オラ ラックス』は、定番モデル『オラ スライド』をベースに、通気性に優れたメッシュ素材と調節可能なストラップへとアップデートを施すことで、より高いフィット感と快適性を実現。


ホカ オラ ラックス \12,100/ホカ ヘルプセンター 0120-710-844(写真:ホカ提供)

近年の円安傾向もあってか街の販売店では「Buy up to 1 pair per person(お一人様1足まで)」というポップまで見かけるほど、海外でも爆発的な人気を集めている。

あくまで脚の疲労回復を目的としているため、着用時のランニングや長時間歩行には不向きだが、休日の散歩や街なかでのショッピングにぴったりな1足といえるだろう。

(白水 健寛 : エディター・ライター)