かつては両軍入り乱れての乱闘劇も時折あったが

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グラウンドに緊張感が走った。

2024年8月1日の広島―DeNA戦(マツダ)。広島が1点リードの6回に大瀬良大地が内角に投じたシュートが、宮崎敏郎の左肘を直撃した。

いまは球団の垣根を超えて選手同士の交流が盛ん

4回の2打席目でも初球の直球が頭部付近に来た「伏線」があり、宮崎はマウンド上の大瀬良に怒りの表情で詰め寄った。

DeNAの田中浩康守備兼三塁ベースコーチ、広島の会沢翼らが慌てて間に入り、三塁ベンチから駆け付けた三浦大輔監督も宮崎をなだめた。

乱闘に発展しなかったが、両軍ベンチから選手が飛び出して球場がどよめきに包まれた。

一昔前は死球で選手が激高し、投手に詰め寄って両軍入り乱れての乱闘劇になることが珍しくなかった。

勝利への執念を前面に出す星野仙一氏は中日の監督時代、相手球団の選手とグラウンド上で会話を禁止させるなど、ピリピリした雰囲気が漂っていたが、時代は変わった。

侍ジャパンの創設で、球団の垣根を超えて選手同士の交流が盛んになり、グラウンド上で相手球団の選手と談笑する姿が日常の光景となっている。

「真剣勝負だからこそ感情を抑えられないときがある」

スポーツ紙デスクは、

「乱闘を推奨するわけではないですが、他球団の選手となれ合う姿を見て複雑な感情を抱いている野球ファンは少なくない。宮崎が今回怒りを露わにしましたが、ああいう姿も時には必要だと思いますよ。真剣勝負だからこそ感情を抑えられないときがある。大型連敗中なので、主力選手としてどうにかしなければいけないと精神的に張りつめていた部分があったと思います」

と指摘する。

この日の試合は広島が2−1で逃げ切り、DeNAは3年ぶりの8連敗を喫した。宮崎の姿を見てナインはどう感じたか。(中町顕吾)