あなたの“お気に入り”は?

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 水道水のみならず、ペットボトルで市販されているミネラルウォーターからも検出された“発がん性物質”PFAS(ピーファス)。安全な商品はどれなのか。主要ブランド46本に対応を尋ねてみた。(以下は「週刊新潮」2024年8月1日号掲載の内容です)

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【決定的瞬間】えっ! 発がん性物質を堂々とまいていいの?? 土壌に染み込み、地下水脈に流出する「PFAS」を含む“泡消火剤”が、なんの防護もされていない地面に噴射される瞬間

 日本の水に、発がん性物質PFASが水道の暫定目標値を超える濃度で含まれていることが次々と発覚し、各地で動揺が広がっている。

 PFASとは、1万種以上あるとされる有機フッ素化合物の総称で、自然界にはほとんど存在せず分解されにくい性質のため「永遠の化学物質」とも呼ばれている。

あなたの“お気に入り”は?

 腎臓からも排出されづらく、ゆえに一度でもヒトの体内に入れば、臓器などに蓄積してしまう。仮にPFASの摂取を完全にやめても、体に取り込まれた量の95%を排出するのに、約40年もの時間がかかるという試算もあるほどだ。

 WHOのがん専門の機関であるIARC(国際がん研究機関)は、PFASの一種、パーフルオロオクタン酸(PFOA〈ピーフォア〉)を発がん性物質として認定。「腎臓がん」をはじめ「脂質異常症」や「免疫不全」、「胎児・乳児の発育低下」など、さまざまな健康リスクが懸念されているのだ。

危険性はミネラルウォーターにまで

 こうした折、衝撃的なニュースが飛び込んできたのは7月上旬のこと。市販のミネラルウォーターから高濃度のPFASが検出されたと、全国紙が相次いで報じたのだ。

 兵庫県明石市議会の辻本達也議員(共産党)が、神戸市への情報公開請求を行った際、同市内で製造されたミネラルウォーターがPFASで汚染されていたことを示す公文書の存在に、気付いたのだった。

 件の公文書によると、昨年に市が問題商品の水源を調査したところ高濃度のPFASを検出。業者が対処し今年1月には汚染を改善したという。ゆえに市は商品名や製造業者を非公開としたが、一件落着といえるのか。

 当の辻本議員に聞くと、

「改善されるまでの間に、問題となったミネラルウォーターを飲んでしまった方々は大勢いる可能性があるわけです。実際、自分が飲んでしまったかもしれないと不安になった方からの、小売店への問い合わせが殺到しています。人の生命、健康にかかわるテーマですから、行政が非公開とするのはおかしいと思います」

 昨年、国内で生産されたミネラルウォーターの量は4年連続で過去最高を記録。市場規模は20年前の3.4倍で初の4000億円を突破した。生活必需品と言っても過言ではないだけに、PFASの有無は重大な関心事である。

 そこで本誌(週刊新潮)は、ミネラルウォーターを扱う主要メーカーへ一斉取材を敢行。大手スーパーやコンビニ、通販などで売れ筋とされる46本の製造元に質問状を送付し、PFASの濃度を検査しているか、検査結果の具体的な数値、最新の検査日や頻度を尋ねた。届いた回答の全文を「三ツ星チェック」としてまとめ、有料版の記事「ミネラルウォーターでも発覚“発がん性物質”「PFAS」 安全な商品は一体どれ!? 主要ブランド46本に質した全回答」で詳報している。

デイリー新潮編集部