アメリカの航空機開発企業「Joby Aviation」が液体水素を動力源とする垂直離着陸機(VTOL)を開発し、523マイル(約842km)のテスト飛行に成功したことを発表しました。

Joby completes landmark 523-mile hydrogen-electric flight | Joby

https://www.jobyaviation.com/news/joby-demonstrates-potential-regional-journeys-landmark-hydrogen-electric-flight/



Flying 523 Miles, Emissions-Free: Joby's Hydrogen-Electric Demonstrator - YouTube

Hydrogen-powered VTOL aircraft makes record 523-mile journey - and lands with 10% of its fuel left in the tank | Live Science

https://www.livescience.com/technology/electric-vehicles/hydrogen-powered-vtol-aircraft-makes-record-523-mile-journey

Joby Aviationが開発するVTOLは液体水素を燃料として飛行可能で、飛行時に水と熱しか排出せず二酸化炭素を排出しません。2024年6月24日にデモ機を用いて実施された飛行テストでは4時間47分飛行し続け、約842kmという航続距離を達成。飛行終了時でも液体水素の約10%が残されており、さらなる航続距離の延長が期待されています。なお、東京から大阪までの直線距離は約400kmなので、水素燃料のみで東京と大阪を往復できることになります。





テスト飛行に際してJoby Aviationは自社のバッテリー式電動航空機を改造し、最大40kgの液体水素を-252.78℃という極低温で貯蔵できる液体水素燃料タンクと燃料電池システムを搭載しました。Joby Aviationによると、離着陸時には航空機に搭載されたバッテリーが電力を供給するものの、飛行中の大部分では液体水素がエネルギー源となるとのこと。



また、テスト用の航空機にはJoby Aviationの子会社のH2FLYが開発した燃料電池システム「H2F-175」が導入されており、水素と空気中の酸素を結合させて電気を生成し、その電気で航空機のモーターを駆動させ、バッテリーを再充電する仕組みとなっています。なお、電気の生成過程で水と熱が排出されるそうです。

Joby Aviationの創設者兼CEOのジョーベン・ベバート氏は「Joby Aviationのエアタクシーを使って、サンフランシスコからサンディエゴ、ボストンからボルチモア、ナッシュビルからニューオーリンズまで、空港に向かうことなく移動できる日が近づいています」と述べています。

Joby Aviationによると、同社は2025年からバッテリー式電動エアタクシーの商業運転を開始する予定とのことで、ベバート氏は「バッテリー式電動航空機で培った設計やテスト、認証作業の大部分は、液体水素を燃料とする航空機の商業化に引き継がれています」と語りました。



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