年収が「独身で1000万円」と「夫600万円+妻400万円」。手取りが多いのはどっち?
独身と夫婦世帯で世帯年収1000万円のときの手取り額
同じ世帯年収1000万円であっても、1人で年収1000万円を得ている場合と夫婦で合計年収1000万円の場合では、手取り額が異なります。それぞれの手取り額の差を比較しましょう。なお、共通する条件は以下の通りです。
●東京都在住
●賞与額は考慮しない
●定額減税は考慮しない
●40歳の会社員(夫婦はともに)
●控除は給与所得控除、基礎控除、社会保険料控除のみ
独身で年収1000万円のときの手取り額
賞与を考慮しないとすると、年収1000万円の方の月収は約83万3333円です。そして年収と月収を基にした各社会保険料額の年額は以下の通りです。
●厚生年金保険料:71万3700円(全国健康保険協会の保険料額表参照)
●健康保険料(介護保険料も含めて):57万6684円(全国健康保険協会の保険料額表参照)
●雇用保険料:6万円(厚生労働省「令和6年度の雇用保険料率」参照)
●社会保険料合計額:135万384円
また、国税庁によれば給与所得控除は195万円のため、所得税と住民税の計算に使う金額は社会保険料と給与所得控除を引いた669万9616円です。
所得税の基礎控除は48万円なので、所得税の課税対象は621万9000円になります。国税庁の「所得税の速算表」より、所得税率が20%、控除額が42万7500円となり、所得税は81万6300円です。
一方、東京都主税局によれば住民税の基礎控除額は43万円のため課税対象が626万9616円、税額は「課税金額×10%+5000円」のため、住民税は約63万1962円かかります。
年収から社会保険料、所得税、住民税を引くと、年収1000万円の方の手取り額は年間720万1354円です。
夫が年収600万円、妻が年収400万円のときの手取り額
夫が年収600万円、妻の年収が400万円のときの社会保険料や税金額、手取り額は表1の通りです。
表1
※筆者作成
結果を基にすると、夫婦で年収1000万円の場合の手取り額は合計で767万5143円です。1人で年収1000万円のケースと比べると、夫婦の方が47万3789円多く手取りを受け取れます。収入だけで見れば、夫婦で年収1000万円の方が得といえるでしょう。
独身のメリットとデメリット
独身のメリットは、食費や水道光熱費といった生活費が1人分で済むことでしょう。また、独身だと自分好みの生活リズムで暮らせます。
しかし、計算結果からも分かるように、同じ金額を夫婦で稼いだ場合より手取りは減少する点がデメリットです。また、児童手当や配偶者控除など家族に関する手当や控除の対象になりません。
夫婦のメリットとデメリット
結婚をするとお互いが支えあいながら生活できます。1人で1000万円を稼ぐときよりも合計手取り額が多くなる点もメリットです。また、配偶者控除や子どもが生まれると児童手当の対象にもなります。
一方、夫婦でいることはお互いへの配慮が欠かせません。家族のために時間を使うので、独身よりも完全に自由な時間は減るといえるでしょう。
手取り額は夫婦で年収1000万円の方が多い
手取り額で比較すると、今回の条件では独身よりも夫婦で年収1000万円の方が手取り額は47万3789円多い結果でした。金銭面の意味なら、夫婦の方がお得だといえます。
しかし、独身にも夫婦にもメリット、デメリットがあります。結婚をするか悩んでいるときは、自分が生活に求める基準で判断しましょう。
出典
全国健康保険協会ホームページ
厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク 令和6年度の雇用保険料率について
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1410 給与所得控除
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1199 基礎控除
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.2260 所得税の税率
東京都主税局 個人住民税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー