江戸前で語られることも多く、東京名物的なうなぎ。しかし、埼玉、千葉、神奈川さらに山梨など関東近郊にも名店は多い。東京の喧騒を離れ、ちょいと贅沢な日帰り旅で堪能したい千葉県の名店をご紹介します。 編集・武内オススメ!『小暮…

江戸前で語られることも多く、東京名物的なうなぎ。しかし、埼玉、千葉、神奈川さらに山梨など関東近郊にも名店は多い。東京の喧騒を離れ、ちょいと贅沢な日帰り旅で堪能したい千葉県の名店をご紹介します。

編集・武内オススメ!『小暮や』 @天王台

香ばしくふわとろ。絶妙の焼き加減に悶絶

都心から常磐線に揺られて40分あまり。茨城県の手前、天王台の駅に着く。この駅には何度も降りているが、目的はいつも同じ。『小暮や』のうなぎを堪能するためだ。

曽祖父の代からうなぎに携わっており、目利きには絶対の自信を持つ現店主が扱うのは静岡県浜名湖産のやや大ぶりのうなぎ。

うな重 3740円(肝吸・新香付)

『小暮や』うな重 3740円(肝吸・新香付) 肉厚のうなぎが鎮座するうな重。備長炭だからこその炭の香りも旨さの理由だ

注文が入ってから生うなぎを捌き、じっくりと蒸した後、紀州備長炭で丁寧に焼き上げていく。やがて表面は飴色でパリッと香ばしく、中は数度噛めば溶けていくようなふわふわ具合の蒲焼きとなって供される。

ご飯と一緒に頬張れば、うなぎの風味、タレのスッキリした甘みとコクが米にしっかりと絡み、はからずも、ん〜とため息が漏れてしまう。この夏イチのご馳走はここで決まりだ。ただし、土用の丑の日は営業しないので要注意。

『小暮や』

[住所]千葉県我孫子市天王台4-2-22
[電話]0471-82-3333
[営業時間]11時〜14時(13時半LO)、17時〜20時(19時半LO)※売り切れ次第閉店
[休日]月(祝の場合は営業)、月2回火、不定休
[交通]JR常磐線天王台駅南口から徒歩5分

ライター・池田オススメ!『川豊本店』 @成田

情緒ある空間で食す確かな旨さが幸せ!

成田山新勝寺、その参道には多くのうなぎ屋が並ぶが、中でもひと際活気と風情を感じさせるのがここ『川豊本店』だ。明治45年築という3階建ての木造建築。店先ではこの道55年以上という板長が活うなぎを次々と割いていく。これひとつ見ても回転のよさはわかるが、厳選したうなぎを“割きたて、蒸したて、焼きたて”で出す。

特上うな重 5600円

『川豊本店』特上うな重 5600円 多くのうなぎを焼き、そのエキスが絡んでまろやかになるという、創業から継ぎ足しのタレも自慢だ

元は川魚専門の漁師で、卸問屋であり創業114年。良質なうなぎを見抜く目とそれを調理する技にこだわりがある。2階の座敷で待つことしばし、登場したうな重は照りがありこんがりした見事な焼き色。

わりとさらりとしつつコクのあるタレがよく馴染んでいる。ふんわり肉厚なうなぎを口に運ぶと、う〜む、野趣もあり力強い味。旨みが後を引く。空間丸ごと、うなぎ食べてるなあって幸せ!

『川豊本店』登録有形文化財でもある純日本家屋の空間も魅力

[住所]千葉県成田市仲町386
[電話]0476-22-2711
[営業時間]10時〜17時
[休日]無休
[交通]JR成田線成田駅、京成本線成田駅から徒歩10分

編集・武内オススメ!『うなぎ八幡屋』 @市原

一度は賞味したいブランドうなぎの底力

千葉県産の「うなぎ坂東太郎」と「大井川共水うなぎ」、国内の2大ブランドうなぎを賞味できるのが、ここ、『うなぎ八幡屋』だ。どちらのうなぎも生育環境にこだわり、独自の飼料を与えられて育てられており、脂ののりや身のやわらかさ、旨みの濃さなどがひと味違う。

うな重 竹 5390円

『うなぎ八幡屋』うな重 竹 5390円 

『うなぎ八幡屋』では、その中でも200g以上に育ったものに限定して仕入れている。身を開いて、白焼きにした後に蒸し、長年継ぎ足し続けたタレに潜らせ、丹念に焼く。

焼き立ての香ばしさ、甘めながらスッキリした味わいのタレ、脂ののったうなぎの身、ふんわり盛られた米が口の中で一体となり、堪えられないおいしさだ。腹いっぱい食べても胃にもたれないのは良質な脂のなせる技だろうか。実にお見事である。

『うなぎ八幡屋』テーブル、小上がりなど含めて176席ある大型店舗。店頭には鯉の泳ぐ池などがある

[住所]千葉県市原市潤井戸1307-20
[電話]0436-74-0007
[営業時間]11時〜21時(20時LO)
[休日]不定休(月に1〜2日、7月は17日、8月は21日、22日)
[交通]京成千原線ちはら台駅から徒歩17分

撮影/西崎進也(小暮や、柏又)、鵜澤昭彦(川豊本店)、小島昇(うなぎ八幡屋)、貝塚隆(安川、しま村)、取材/武内慎司[編集部](小暮や)、池田一郎(川豊本店)、松岡芙佐江(うなぎ八幡屋)、飯田かおる(柏又、しま村)、肥田木奈々(安川)

2024年8月号

※2024年8月号発売時点の情報です。

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