うなぎのサイズはどんな表記か 数え方も色々ある?
厳しい猛暑が続いています。夏バテ対策の食べ物として真っ先に思い浮かぶのが、そう、「うなぎ」。2024年の夏の「土用の丑の日」は2回あります。7月24日と8月5日。うなぎの話題に触れる機会が例年よりぐっと増えると思いますが、ただのうなぎ好きから「うなぎ通」をめざしてみませんか。“うなぎガイドの決定版”で、あらゆる角度からうなぎを解説した最新刊『読めばもっとおいしくなる うなぎ大全』(高城久著、講談社刊)から、知ってタメになる耳寄りな知識を抜粋してご紹介します。
「P」は何の略?
魚の数え方はいろいろあります。うなぎの場合は1匹、2匹と数えるのが一般的ですが、活鰻(かつまん、生きているうなぎ)は頭から尾まで揃っているので1本、2本と数えることもあります。また、うなぎ屋では料理の材料なので「尾(び)」と数える場合もあります。
では、うなぎのサイズを表す規格をご存知ですか。答えはP(ピー)。Pはピースの略で1kgあたり何匹入っているかを表したものです。3(さん )P(ピー)なら3匹、4(よん)P(ピー)ピー なら4匹。4Pより3Pのほう が重い=大きいうなぎです。
うなぎ専門の問屋がある!
うなぎを出荷する際、大きさ別に分ける作業を「仕分け」と言います。この仕分け作業は、うなぎ問屋の重要な仕事です。うなぎ問屋と言われて「うなぎ専門の問屋があるの!?」と驚かれた方も多いと思います。うなぎ問屋には大きく分けて4つあります。
(1)シラスウナギ(赤ちゃんうなぎ)をシラス漁師から買って養鰻場(ようまんじょう)に卸すシラス問屋
(2)養鰻場から活鰻を仕入れて各地へ卸す産地問屋
(3)産地問屋から活鰻を仕入れて専門店へ卸す消費地問屋
(4)輸入した活鰻を消費地問屋へ卸す輸入問屋
消費地問屋「鰻問屋もがみ」の仕事
問屋ですからうなぎの卸売(おろしうり)が主な仕事ですが、他にもさまざまな役割を持っています。私たち消費者の一番身近にあるのが消費地問屋ですが、日常生活の中であまり目にすることのない消費地問屋の仕事を鰻問屋もがみ(千葉県柏市)を例に覗(のぞ)いてみましょう。
問屋の朝は早く、真夜中から始まります。まず、配送された活鰻を梱包(こんぽう)されたビニール袋から出す袋開(ふくろあ)け。この数が半端ない。問屋では 20kgを1本と数え、少ない日でも 25本にもなります。繁忙期は想像を絶する数となるのです。
次に袋開けしたうなぎを立てます。問屋やうなぎ屋ではうなぎを活かしている場所を立場(たてば)といい、立場に移す作業を立てるといいます。5kgに分け養鰻篭(ようまんかご)に入れて重ねて井戸水をかけ流し、鮮度を保ちます。
うなぎの鮮度を確認
続いて検品。この作業は配送日以外も必ず行う大事な作業。うなぎの鮮度が保たれているか、弱っていないかを1匹ずつ確認して検品します。そして、お得意さんの注文に合わせて、仕分け・選別作業。産地問屋でおおまかに仕分けされた活鰻をさらに得意先の要望に沿って、素早く傷(いた)まぬように手作業で選別し、パッキングして配送します。
さらに、忘れてはいけない仕事が、うなぎ捌(さ)き。うなぎ捌きはとても体力のいる作業です。若い職人でも腰痛や肩こりに悩まされており、高齢のベテラン職人となればなおのこと。自ら捌くことが難しくなった職人を手助けするのも問屋の大切な仕事です。
このように問屋は、おいしいうなぎを食べるためには欠かせない存在です。
高城久(たかしろ・ひさし)
うなぎ愛好家。己書家(おのれしょか)。1962年、東京都生まれ。千葉県柏市で、「柏長生館高城整復院」を営む傍ら、うなぎ好きが高じて2004年から、うなぎ屋さん応援サイト「うなぎ大好きドットコム」を運営。夏のうなぎシーズンには、テレビやラジオの出演や雑誌などの原稿依頼を多数こなす。TBS系人気番組『マツコの知らない世界』に異例の2回出演。名古屋のうなぎ専門店「炭焼きの店 うな豊」で見た「うなぎ昇り」の己書(自分の思うままに筆を走らせて表現する「書」)に魅せられ、師範を取得。うなぎと己書で笑顔を広めるため活動中。
「うなぎ大好きドットコム」https://unagi-daisuki.com/
「都道府県別うなぎ屋さんレポート」https://unagi-daisuki.com/eelshop_prefecture
「うなぎ大好きチャンネル」https://www.youtube.com/@eellove