『虎に翼』写真提供=NHK

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 放送中の朝ドラ『虎に翼』(NHK総合)は、この第16週「女やもめに花が咲く?」より「新潟編」がスタート。新章の幕開けとなる。

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 愛すべき猪爪家の面々や同僚たちから送り出され、ヒロイン・寅子(伊藤沙莉)は新潟地家裁三条支部に赴任。彼女は支部長として、新たな人間関係とドラマを築いていくこととなる。ここでは新キャストである高橋克実、田口浩正、遠山俊也、望月歩らの役どころについて触れてみたい。

 第75話では、寅子は三条支部の人々から大歓迎を受けた。彼女の名が全国的に広く知られているのであろうこともあるが、これはやはりここまでに残してきた功績の証。東京を離れ、違う土地に出向くことで見えてくる世界や、新しい自分の姿というものがあるに違いない。「支部長!」というセリフが連呼され、なんだかにぎやかになっていきそうである。

●杉田太郎(高橋克実)

 新潟県三条市の出身である高橋克実が演じるのは、弁護士の杉田太郎。おそらく、「新潟編」のキーパーソンのひとりだろう。人々からの信頼も厚いらしい。東京からやってきた寅子に対して愛想よく振る舞うが、心の内はそうではないようだ。高橋といえば、映画にドラマに演劇にと、誰もが知る国民的バイプレイヤー。この寅子に対する外面と内面の“ズレ”の複雑さをどう表現するのかが、これからしばらくの見どころとなるのではないだろうか。そしてやはり、彼が発するネイティブの方言も楽しみのひとつ。主演の伊藤とともに、クセのある演技合戦を繰り広げることに期待である。

●杉田次郎(田口浩正)

 田口浩正が演じる弁護士の杉田次郎は、その名から分かるとおり杉田太郎の弟。つまり、高橋と田口は兄弟役を演じるわけだ。この次郎もまた兄と同様に裁判所の人々と親しく、幅広い人脈を持つ人物らしい。そして兄を慕い、気にかける存在でもあるという。となると、もしも寅子と太郎が何か衝突のようなものを起こした場合、彼も太郎の側に回るのだろう。慣れない土地でそんなことになれば寅子が不憫だが、彼女はこれまでざまざまな強敵を相手取っては闘いを繰り広げてきた。そんな寅子にとってこの“杉田・弁護士・ブラザーズ”は、むしろ頼もしい存在だといえるだろう。

 もちろん、寅子と彼らが対峙するというのは、事前情報から立ち上げた筆者の勝手な想像(期待)である。ほかの新キャラクターの設定に目を向けると、どうやら遠山俊也と望月歩が演じるのは心優しい人物らしい。

●深田仁助(遠山俊也)  遠山が演じる深田仁助は、三条支部の主任書記官兼庶務課長。寅子を温かく迎え入れる彼は、周囲との波風が立たぬよう、つねに相手の顔色をうかがう気遣いの人。演劇畑からキャリアをスタートさせた遠山は、前作『ブギウギ』(NHK総合)にも顔を出していた。「オールスター男女歌合戦」にてヒロインのスズ子(趣里)に大トリを務めるよう打診したプロデューサー・代々木勇である。出番としては短いものだったから、今回の深田はそのキャラクターからして何かしらの役割を持っていることに期待せずにいられない。

●高瀬雄三郎(望月歩)  望月が演じる高瀬雄三郎は三条支部の書記官だ。気弱な性格のため、周囲からからかわれることもある人物らしい。読書好きなところが直明(三山凌輝)に似ていることから、寅子は彼に親近感を覚える。思い返せば望月は、初めて朝ドラへの出演を果たした『エール』(NHK総合)でも先輩俳優に囲まれ、愉快なグルーヴを生み出していた。今回も彼が圧倒的に若いため、構図としては非常に近いものがある。それに寅子には、娘の優未(竹澤咲子)との溝を解消しなければならない。直明に似たところのある彼に何か期待してしまうのは筆者だけだろうか。

 さて、いよいよはじまる「新潟編」。ここにもユニークな面々が揃っている。彼らとの関わりの中で寅子はどのような成長を遂げていくのだろうか。(文=折田侑駿)