亡くなった宝島龍太郎さんと幸子さん

写真拡大

 全容解明への「最後の1ピース」となるのか。東京・上野で飲食店を経営する夫婦が遺体で見つかった事件で、新たに夫婦の長女が逮捕された。家業の“乗っ取り”計画に加担した彼女の、知られざる一面とは……。

 ***

【写真を見る】源氏名は「まなみ」だったという宝島真奈美容疑者

 絞殺の末に焼損され、栃木県那須町で発見された宝島龍太郎さんと幸子さん。長女の真奈美(31)は6月27日、警視庁と栃木県警の合同捜査本部に殺人容疑で逮捕された。全国紙デスクが言う。

「すでに殺人容疑で6人の男が逮捕されています。事件を主導したのは真奈美の内縁の夫である関根誠端(せいは・32)。焼肉店や居酒屋など上野周辺で14店舗を経営していた宝島夫妻の運営方針に、マネージャーとして数店舗を任されていた関根が不満を募らせ、殺害を計画したとみられています」

亡くなった宝島龍太郎さんと幸子さん

“消してやる”

 娘の真奈美もまた両親との確執を深め、今年1月には宝島さんが代表を務める運営会社「サンエイ商事」の役員を辞任。が、事件後の5月中旬には同社の代表取締役に就いている。

「真奈美は逮捕前の任意聴取で、1月に役員を辞めたのは“自分の会社をやりたかったから”と話している。また両親と関根の不和については認めながらも、自らは子育てで忙しく関根とすれ違いの生活が続いていたなどと、犯行への関与を否定していました」(同)

 もっとも捜査本部は、

「真奈美と関根のスマートフォンの解析を進め、関根から“(宝島夫妻を)消してやる”などのメッセージが送られ、また夫妻がいなくなる前提で会社の経営についてやり取りしていたことを把握。真奈美も殺害を容認していたとの判断に至りました」(同)

“すぐに戻ってくるから”

 関根とともに、犯行現場となった品川区内の空き家に夫妻を連れ出した不動産業者の前田亮も、事件の全容を知る主犯格とみられており、

「関根と前田は勾留期限を7月5日に迎え、殺人罪で起訴されます。この二人を落としたいために、事情を知る真奈美を逮捕したのです。ただし真奈美は、殺害の細かな段取りをすべては聞かされていなかったとみられ、最終的には殺人ほう助罪で起訴される可能性もあります」(同)

 真奈美を知る上野の飲食店関係者が明かす。

「逮捕の2日前にすれ違ってあいさつした時は少しお疲れの様子でしたけれど、逮捕後、彼女が運営する店舗のスタッフに聞いたら、『真奈美さんからは“すぐに戻ってくるから店を回しておいて”と言われた』などと話していましたね」

新たなトラブルも…

 世田谷区等々力に関根と暮らし、仕事では上野を根城としてきた真奈美は、かつて意外な場所に縁があったという。

「2015年から1年ほど、彼女は私と同じ店で働いていました」

 そう明かすのは、当時東京・銀座にあったクラブの従業員だった男性である。

「女の子が40人ほどの比較的大きい店で、彼女の源氏名は『まなみ』。おとなしい感じで常連客がいるわけでもなく、出勤も週に2〜3日と、小遣い稼ぎで働いている印象でした」

 この男性が印象深かったのは、

「たまたま実家の話になった時、『上野で焼肉屋をやっている』と言うのです。せっかくだから打ち上げで行こうと本人が言うので、仕事が終わった深夜、皆で飲みに行きました」

 そこは、実際に宝島さんが手がける店舗だった。ほどなく渡米した彼女は帰国後、男児を連れながら主犯の関根と深く関わり、奈落へと落ちていった──。

「工事代金が未払いに」

 殺人事件の捜査は終盤を迎えつつあるが、都内有数の繁華街で築き上げた「宝島ロード」は風前のともしびである。「サンエイ商事」と取引があったさいたま市内の内装業者が言う。

「うちは宝島さんの存命中に店舗の内装工事を請け負ったのですが、亡くなって工事代金が未払いになっています。ちょうど店舗の一部が契約解除になるとかで、6月初めに娘さんから“交渉に同席してほしい”と頼まれ、保証金が戻ってくれば回収できると考えて立ち合ったのですが……」

 信頼関係が損ねられたため契約終了、という物件オーナーの意向を告げられた真奈美は、仲介業者との話し合いで「私は被害者」だと主張したのだが聞き入れられず。むろん内装業者も代金回収はできずじまいで、

「今後は弁護士を立てて支払いを求めていくしかありません」(同)

“乗っ取り”計画は、あっさりついえてしまったのだ。

「週刊新潮」2024年7月11日号 掲載