イングランド代表のブカヨ・サカ【写真:ロイター】

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イングランド代表はPK戦でスイスを下した

 欧州選手権(EURO)は現地時間7月6日に準々決勝の試合が行われ、イングランドはPK戦の末にスイスを下した。

 90分の中で同点ゴールを決め、PK戦でも成功させたMFブカヨ・サカについて英公共放送「BBC」は、前回EUROの記憶と共に「特別な贖罪の瞬間」だと報じた。

 前回準優勝のイングランドが、前回優勝のイタリアに完勝してきたスイスと対戦。前半はイングランドペースで進んだが、後半はスイスが押し込んで攻撃を繰り返す展開になった。そして後半30分に右サイドからのボールを最後はFWブレール・エンボロが合わせてスイスが先制した。しかしイングランドは後半35分、MFブカヨ・サカが右サイドからカットインして左足シュートをファーサイドのゴールポストに当たって入るギリギリのコースに打ち込んで同点に追い付いた。

 延長戦でも決着がつかなかった試合はPK戦に突入。するとスイスの1人目DFマヌエル・アカンジのキックをイングランド代表GKジョーダン・ピックフォードがファインセーブ。イングランドはキッカー全員が決めてPK戦のスコア5-3で突破を決めた。

 3年前の前回大会決勝で、サカはイタリアとの決勝でPK戦の5人目に登場して相手GKジャンルイジ・ドンナルンマにセーブされた。レポートでは「人種差別的で、うんざりするような、卑劣なものだった。サカはマーカス・ラッシュフォードやジェイドン・サンチョとともに、イタリア代表とのPK戦で失敗した後、最も恐ろしい罵声を浴びた」と当時を回想している。

 それだけに今回のサカの活躍とPK戦での成功、そして5人目のキッカーが成功した後に味方と喜び合う輪に加わらず1人で両手を上げて膝を突いたポーズを「サカ流の贖罪であり、気品と豊かな技術、そして好感を持たずにいられないスタイルで行われた」と評した。

 また、「イングランド代表の5本のPKはすべて、黒人や混血の血を引く選手が決めたものだった」とも指摘された。

 ガレス・サウスゲート監督の采配や試合内容の低調さには批判が集まっているイングランドだが、右ウイングバックとして起用されたサカは特別な試合となった準々決勝を乗り越え、初優勝まであと2試合に迫った。前回のリベンジを完全な形で果たすには、EUROの頂点に立つしかない。(FOOTBALL ZONE編集部)