長岡一也さん(フリーアナウンサー)

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【長岡一也=コラム「競馬白書」】

◆キングズパレスに期待したい

 記憶に新しい昨年の七夕賞をつぶさに振り返ることで、今年の検討につなげてみたい。

 勝った4歳馬セイウンハーデスは、前走の新潟大賞典でハンデ56キロで逃げて0.1秒差の2着と惜敗していた。七夕賞は57キロで2番人気。8枠15番の外からのスタートだったが、器用さを生かして向正面では2番手に上がり、幸騎手に言わせるとイメージ通りのレース運びで気を抜かずに走れていたと言う。この辺はブリンカーを着用するようになって改善されていたそうで、絶好の手応えで荒れた内を避けて馬場の真ん中を力強く抜け出していた。3走前のレコード決着の中逃げて苦しく13着と大敗していたが、それ以後は馬具の効果が出て好成績が続いていた。

 芝の2000米はこれで4戦3勝・2着1回で、シルバーステート産駒らしさを感じさせていた。七夕賞では初重賞制覇がよくあるので、この点は注意していきたい。

 ハンデ頭が大苦戦してきたが、昨年はヒンドゥタイムズ(セン馬7歳)の58.5キロがトップハンデで8番人気で7着だった。2月の小倉大賞典で57.5キロのハンデで勝っていたが、その後の大阪杯16着、鳴尾記念7着に終わっていた。七夕賞は前半1000米が60秒7のスローペースで、後方から外を回って追い上げ最後は良く伸びたが、条件がかみ合わなかった。

 1番人気が苦戦を強いられるのも七夕賞だが、昨年は4歳馬、56キロのバトルボーンが支持されたが、最内2枠3番ゲートから出て終始逃げることになり、このハナに押し出されたことで目標にされて苦しくなり、4着に終わり、未勝利からの5連勝はならなかった。これを2番手で追いかけたのが、やはり4歳で1勝級から3連勝中だったテーオーソラネルで56キロで5番人気だったが、10着と案外だった。条件から3連勝、4連勝して重賞に出るには壁が高く、重賞でもまれた経験があった方が、たとえ敗れていても、ここでは生きるというのが通説と言っていい。

 昨年の1番軽いハンデは54キロで、2頭いてどちらも牝馬だった。いずれも上位に健闘していて、5歳馬ククナが2枠4番、9番人気で2着に、6歳馬ホウオウエミーズが1枠2番で、13番人気ながら3着に入り波乱を生んでいた。ククナは桜花賞6着、オークス7着と善戦していて立て直しての好走だったが、ホウオウエミーズは、枠も馬場も良く取りたいポジションで巧く立ち回れていた。軽ハンデの好枠というのは好走のひとつの条件と考えていいだろう。

 今年は微妙な顔ぶれだが、5歳になって軌道に乗ってきたキングズパレスの初重賞制覇に期待したい。前走はハナ差の2着、確かな末脚を持っている。逆転候補には、コース巧者リフレーミングを。2走前の福島民報杯の大外ゴボウ抜きは凄かった。後はコースの合うダンディズム、タフな馬場なら。

「七夕の 願いはひとつ さらに勝つ」