池袋の“上級国民”暴走事故を彷彿…韓国で「13人死傷事故」を起こした高齢者の意外な経歴と言い訳

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近年、深刻な社会問題となっているのが高齢ドライバーによる交通事故。日本で最も印象的な事故と言えば、5年前に起こった「池袋暴走事故」だろう。

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2019年4月19日昼、東京・池袋で高齢者が運転する車が歩行者などを複数はね、母子2人が死亡、9人が怪我を負った事故。車を暴走させた飯塚幸三受刑者(事故当時87歳、現在93歳)が旧通産省幹部だったことが判明し、逮捕されなかったことから、“上級国民”というワードが広まったことは記憶に新しい。

写真はイメージ(写真AC)

飯塚受刑者は車の欠陥を理由に無罪を主張したが、その後の調査では車の異常は認められず、運転手によるアクセルとブレーキの踏み間違いとして禁固5年の実刑が確定。現在も関東地方の刑務所に収監されている。

このような痛ましい事件を彷彿とさせる交通事故が、韓国でも起きてしまった…。

運転していた高齢男性は“まさかの職業”

7月1日21時27分頃、ソウルのあるホテルの駐車場から出てきた車が、一方通行の幹線道路を逆走し始めた。車は止まらず、数台の車に衝突したあと、歩道に突入して歩行者を続々とはねた。

この事故で30代男性4人、40代男性1人、50代男性4人の計9人が死亡し、4人が負傷(重傷1人、軽傷3人)している。

警察は暴走車を運転していた男性(68)を現場で逮捕するも、痛みを訴えたため同乗していた60代女性とともに病院に運ばれた。飲酒運転の疑いはなく、薬物や居眠り運転も現時点では確認されていない。

男性は事故の原因として「車の急発進」を主張したのだが、ネット上では非難が相次いでいる。

というのも、事故から一夜明けた2日、SNSなどでは事故当時に現場に居合わせていた人たちが動画や写真を投稿し、決して急発進したようには見えなかったと声を上げているためだ。

あるユーザーは、事故当時の映像とともに、「ブレーキを踏んで車を止めていたのに急発進だと?」とX(旧ツイッター)に投稿。実際、ニュースで流れた街角の防犯カメラの映像では、横断歩道に突っ込む前に一度停止していたことが確認できる。

赤丸で囲まれているのが事故を起こした車両(画像=オンラインコミュニティ)

そのほかにも、事故で亡くなった男性の同僚と名乗る人物が、「死亡者のうち4人がうちの会社の職員だと言っていた。すごく心が痛い。昨日(7月1日)が人事発令日だったので、昇進、異動を祝うために会社の近くで会食もたくさんした。死亡者の中には今回の昇進した者も含まれていた」とSNSで発信するなど、余波が広まっている。

その後の警察の調べでは、ドライバーの男性はキャリア40年のバス運転手だったことが判明。また、車の急発進など制動に詳しい専門家が、最近の車のブレーキは機械式ではなく電子制御のため、一瞬だけ正常に戻る可能性もあると言及していることから、本当に車が急発進した可能性も捨てきれない状況だ。

ソウル南大門警察署は2日のブリーフィングで、「事故の原因が急発進というのは被疑者の陳述だけ」とし、「正確な原因を把握するため、事故車両を国立科学捜査研究院に鑑定を依頼する予定」と明らかにした。

国立科学捜査研究院の車載事故記録装置(EDR、イベントデータレコーダー)の分析は1〜2カ月かかることから、今しばらく待つこととなりそうだ。

いずれにしても、9人もの人命が失われたことは覆しようがない事実である。これ以上、痛ましい事故が起きないことを祈るばかりだ。

(文=サーチコリアニュース編集部K)