クルマのサブスクリプションサービスを手掛けるKINTOが「AR」(拡張現実)技術を使った新サービスの提供を開始した。クルマに乗り込むと目に飛び込んでくる、さまざまなマークが描かれたスイッチにスマートフォンのカメラをかざすと、そのスイッチについて教えてくれる「これなにガイド」という機能だ。どのくらい便利? デモを見てきた。

KINTOがAR技術を使った新サービスを開発!

クルマのスイッチ、知らずに乗ってない?

「これなにガイド」はKINTOの専用スマホアプリ「KINTO Unlimitedアプリ」で使える機能。まずは「プリウス」のZ/G/Uの各グレードでサービスを開始し、今後は「ヤリス」「ヤリスクロス」にも対象を拡大する。

使い方は簡単。アプリでカメラを起動させて各種機能のスイッチにかざすと、実際のカメラ画像にスイッチの用途を説明するテキストがARで表示される。そのテキストをタップすれば、より詳しい解説や使い方を説明する動画などのページに飛ぶことができる。





カメラで読み取れるのはハンドル左右の各種スイッチ(メーター操作、電話、走行支援、レーントレーシングアシスト、クルーズコントロール、オーディオ、トーク)とハンドル左後方にあるアドバンストパークメインスイッチ、カメラスイッチだ。今後はセンターコンソールにあるスイッチなど読み取れる対象を増やしていきたいとのことだった

同技術を開発した理由は何か。KINTOによれば、同社が若年層を対象に実施した調査では、「自身が所有するクルマに付いているスイッチの用途や使い方を十分に理解しているか」を問う質問に対し、理解していると回答した人の割合はわずか25%にとどまったとのこと。「カーライフを始めて間もないお客様が、クルマに搭載されている各種機能をスムーズにご理解いただくための基盤」として、「これなにガイド」を開発することにしたそうだ。

実際、クルマのハンドルに付いているスイッチの種類はかなり増えており、特にACC関連(高速道路での半自動運転機能)のスイッチはメーカーによって操作手順がまちまちで、使い方がわかりづらい。慣れれば簡単なのだが、使い方がわからないとせっかくの便利な機能も使わずに過ごしてしまうことになりかねず、もったいない。クルマの乗り始めに「これなにガイド」を使って機能を把握できれば、その後のカーライフの利便性と安全性が向上するはずだ。クルマの販売ではこうした機能の説明に時間をかけているのが現状だが、「これなにガイド」の普及が販売現場でのオペレーションの効率化につながるかもしれない。

ハンドルに付いているスイッチは、ぱっと見どんな機能なのかがわかりにくい。「これなにガイド」で最初に機能を確認しておけば、安心して使えるはずだ

KINTOがデジタル化に注力

KINTOでは「顧客体験のデジタル化」に取り組んでいる。「これなにガイド」も同方針に基づく新サービスだ。専用アプリでは今回、契約情報をもとに、各種機能の搭載状況を一覧にしたリストの提供を開始。プリウスのサブスク専用「Uグレード」に乗っている場合は、メーカーオプションや「KINTO Unlimited」を通じたアップグレード機能について、どれを搭載していてどれを搭載していないかを一目で把握することができるようになった。まだ装着していないアイテムについては、リストからスムーズに注文できる。

自分のクルマに装着済みのアイテムと未装着だが装着可能な機能がリストで一目で確認できる

また、プリウス、ヤリス、ヤリスクロスのUグレードで提供している「コネクティッドドライブトレーナー」には新たに「トレーニング機能」を追加。ユーザーの運転データをもとに、安全運転を実現するためのペダル操作など、各ユーザーに適したトレーニングメニューをオススメしていく。今後は同じメニューに参加しているユーザー同士で結果を比べられる「ランキング」が見られるようにする予定だという。





「コネクティッドドライブトレーナー」はトヨタ自動車のコネクティッドサービス「T-Connect」を通じ、車両から収集したユーザーの運転データを分析し、安全やエコな運転につながるポイントをアプリでユーザーにアドバイスするサービス。右左折するどのくらい前にウインカーを出したか、急ハンドルを切ったかなど、さまざまな運転操作のデータを収集できるのが特徴だ